時田貴司

時田貴司氏は、1966年生まれの日本のゲームクリエイターであり、スクウェア・エニックスに所属しています。幼少期から漫画、アニメ、ゲームに親しみ、漫画家を目指していましたが、アニメブームの影響を受け、役者を志すようになり、高校時代から劇団活動に励んでいました。

ゲーム業界との関わりは、アルバイトとしてZAPに入社したことから始まりました。グラフィックデザイナーとして働き、山名学氏や内藤寛氏といった才能ある開発者たちと出会います。パソコンスキルは独学だったため、入社後に会社で学ぶことになりました。その後、1986年にスクウェアへアルバイトとして入社。河津秋敏氏と同期の仲間入りを果たし、『ファイナルファンタジー』のグラフィック制作などに携わります。当初はRPGに魅力を感じていませんでしたが、山名学氏から勧められた『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』をプレイしたことで、RPGの魅力を再発見することになります。

企画・作画スタッフとして経験を積んだ後、1994年、『ライブ・ア・ライブ』でゲームディレクターとしてデビューを果たします。役者経験から培われたストーリーテリングの才能を発揮し、人間ドラマを重視した作品づくりに力を入れるようになりました。自身の作品には、漫画版『デビルマン』の影響を受けたという人間の負の側面、裏切りや葛藤といった要素が色濃く反映されています。『ライブ・ア・ライブ』、『ファイナルファンタジーIV』、『バウンサー』など、数々の作品でその作風を貫いてきました。近年では、自身のこれまでの作風を振り返りつつ、現代のゲームデザインにおけるユーザー体験を重視する考えを示しています。

ゲーム制作の傍ら、時田氏は演劇活動を継続しており、伊藤賢治氏や下村陽子氏といったゲーム音楽家と協働して劇伴音楽を制作したり、自らも舞台に立つなど、幅広く活動しています。また、プロレス好きとしても知られており、獣神サンダーライガーの熱狂的なファンであることから、ライガーのマスクをかぶってゲーム誌に登場するなど、個性的な一面を見せてきました。

時田氏の人間関係も多岐に渡ります。高校時代の同級生である脚本家、川崎ヒロユキ氏とは今でも交流があり、川崎氏の作品に主演した経験もあります。また、『半熟英雄』シリーズで共演した桜塚やっくん氏や、『ファイナルファンタジーIV』でルカ役を担当した妻である折笠奈緒美氏らとも親交が深く、結婚式に桜塚氏を招待したエピソードも知られています。

時田氏が携わった作品は多岐に渡り、『クレオパトラの魔宝』、『ハイウェイスター』、『ファイナルファンタジー』シリーズ、『半熟英雄』シリーズ、『ライブ・ア・ライブ』、『クロノ・トリガー』、『パラサイト・イヴ』、『チョコボレーシング』、『バウンサー』など、数多くのタイトルでディレクター、プロデューサー、シナリオライターとして活躍しています。近年では、『ファイナルファンタジーIV』のリメイク作品や、『ライブアライブ』のHD-2Dリメイク版などにも携わっています。

時田氏は、自身のTwitterアカウントやゲーム作品において「ゲームしょくにん」と名乗り、開発現場の激務を自虐的に表現することもあります。また、過去には「プロレクター」と自称したこともありました。演劇ユニットPuresのキャプテン、脱線劇団ページワンにも所属するなど、多彩な活動を続ける時田氏の今後の活躍にも期待が集まります。

もう一度検索