時課

時課（じか）とは

キリスト教における「時課」とは、特定の時間に行われる奉神礼・典礼を指す用語です。ギリシア語では「ὧραι」、ラテン語では「Divinum Officium」、ロシア語では「часы」、英語では「hours」と訳されます。

広義には、時間を定めて行われる日々の祈り全体を指しますが、狭義には、一時課、三時課、六時課、九時課という特定の奉事を指します。本記事では、広義の時課全体について詳述します。

正教会における時課

正教会において時課とは、時を定めて行われる奉神礼である昼夜奉事（ちゅうやほうじ）のすべてを指します。狭義には、昼夜奉事のうち、時課という名を持つ奉事（一時課、三時課、六時課、九時課）のみを指します。それぞれの時課は、定められた時間に行われ、それぞれに固有の意義が与えられています。構成要素としては、聖詠、讃詞、カノン、連祷などが用いられます。

時間の概念

正教会では、旧約聖書の伝統を維持するユダヤ教と同様に、一日は日没から始まります。これは、創世記第1章の「夕あり、朝あり、是れ一日なり」という記述に基づいています。例えば、一般的に土曜日の日没は、教会暦では日曜日の始まりとなり、日曜日の日没は月曜日の始まりとなります。クリスマスが前日の晩から始まるのも、この教会暦の方式に由来しています。

聖体礼儀は、昼夜奉事とは別の枠組みで扱われます。これは、聖体礼儀ではイエス・キリストの復活が中心に記憶される一方で、復活の時刻が神秘に属し、具体的に定められていないためです。福音書には、キリストが復活した瞬間の記述はなく、聖伝においてもそれは明らかにされていません。

昼夜奉事の一覧と意義

時課のすべてを行うことは、大規模な修道院を除いてはほとんどありません。修道院でも、各時課をそれぞれの時刻通りに行うのではなく、いくつかの課をまとめて行うのが一般的です。主日や大祭には、晩課、早課、一時課をまとめて盛儀とした徹夜祷と呼ばれる祈りが行われます。一般の教会では、大祭などの特別な日にのみ公祈祷が行われることが多く、結果として、徹夜祷と、三時課・六時課を伴う聖体礼儀が行われる頻度が高くなっています。

カトリック教会における時課

カトリック教会には、以下の時課があります。

朝課
賛課
1時課（現在は廃止）
3時課
6時課
9時課
晩課
終課

まとめ

時課は、キリスト教の伝統において、日々の生活の中で祈りを捧げるための重要な要素です。正教会とカトリック教会では、時課の構成や時間帯に違いがあるものの、それぞれの時課が持つ意義は共通しており、神との交わりを深めるための手段として、今日まで大切に守られています。

参考文献

『正教会の手引』日本正教会全国宣教委員会（2004年11月）
ミハイル・ソコロフ著、木村伊薩阿克訳『正教奉神礼』日本正教会（明治24年）

関連項目

時課経 - 正教会の時課に用いられる祈祷書
聖三祝文 - 時課で必ず唱えられる祈祷文
聖金口イオアン聖体礼儀
祈祷書 (正教会)
ミサ
六時礼讃

外部リンク

時課と一週間 - 日本ハリストス正教会公式サイト内ページ
長司祭長屋房夫によるページ・正教会における意義の解説
九時課 - ウェイバックマシン（2016年3月4日アーカイブ分）
晩課 - ウェイバックマシン
晩堂課 - ウェイバックマシン
祈祷の式順表（正教会）
時課の式順
大斎時課

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