晒 (刑罰)

晒しについての考察

晒し（さらし）とは、犯罪者を公衆にさらしてその名誉や地位を奪うための慣行です。この行為は、古代から現代にいたるまで、多くの文明で行われてきました。特に、都市が発展する前の時代では、罪人が親類や近隣住民の前で晒されることがよく見られました。晒しは身体的な罰ではありませんが、精神的な屈辱を与える点において、近代の自由刑とも通じる部分があります。

日本における晒し

近世の日本では、江戸時代に特有の晒しの形態が存在しました。その中には「穴晒し」と「陸晒し」の2つがあります。穴晒しは、罪人の体を地面に埋め、首だけを地上に出す形で行われました。この形態は、特に鋸挽きの刑の際に用いられることが多く、江戸の日本橋南詰高札場がその主要な場だったとされています。

一方、陸晒しは、罪人を拘束し路傍に置くことで、他の人々に見せしめとする目的で行われました。江戸では、日本橋高札場の東側空き地が主な実施場所であり、罪人は手だけを自由にして本しばりにされていました。その罪状は立て札として前に掲げられ、晒される時間は朝の五時から夕方の七時までと定められていました。このような方法は、主に付加刑として行われましたが、場合によっては単独の刑罰としても行われました。

晒しの法律的背景

1869年に出された刑法官指令によって、江戸時代の晒しは市中引き回しや鋸挽きとともに廃止されることとなりました。しかし、実際にはその後も晒しを伴う刑が行われていました。たとえば、同年11月には、川口居留地で金銭を持ち逃げした男性に対して、晒しと徒罪が課せられることがありました。このように、法律による明確な禁止にもかかわらず、晒しが継続されていたことがうかがえます。

ヨーロッパにおける晒し

ヨーロッパでは、晒しが行われることで人々に強い衝撃を与えました。イギリスにおいては、13世紀に晒し台が登場し、これが後にアメリカの植民地にも持ち込まれました。晒しは肉体的な罰ではなく、精神的な屈辱を与えるものでしたが、実際には大衆から石や汚物が投げつけられることもあり、結果として重傷を負うこともありました。

神聖ローマ帝国のトスカーナ大公レオポルド1世が死刑を廃止した際には、殺人の罪に対して晒し台と生涯の強制労働が課されるようになりました。フランスでも、19世紀の初めには晒し台が大衆の興味を引く見世物となり、受刑者に焼きごてによる烙印が押されることがありました。人口が少なく、住民同士が知り合いであることが多かった17世紀のアメリカ植民地でも、晒しによる処罰が行われていました。

まとめ

晒しは古代から現代にかけて、罪人の名誉と社会的地位を剥奪する手段として機能してきました。この行為は、罪人に対する恐怖や警告の象徴であり、また一方では社会全体の規律を保つ役割も持っていました。現在では、こうした公開処罰の形は消滅しましたが、法や社会における「晒し」に対する考え方は、いまだに議論を呼ぶテーマとなっています。

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