普門寺 (高槻市)

普門寺：歴史と文化が織りなす高槻の古刹

概要

大阪府高槻市富田町に佇む普門寺は、臨済宗妙心寺派に属する寺院です。慈雲山を山号とし、釈迦如来と十一面千手観音菩薩を本尊として祀っています。室町時代後期の創建以来、幾多の変遷を経験しながらも、歴史的建造物と美しい庭園を今に伝える、高槻を代表する寺院の一つと言えるでしょう。

歴史

普門寺の起源は、明徳元年(1390年)に説巌によって臨済宗建長寺派の寺院として創建されたと伝えられています。その後、一時荒廃した時期を経て、永禄4年(1561年)に大きな転換期を迎えます。

この年、三好長慶がかつての主君であった細川晴元を普門寺に幽閉、監視するため、寺院を城郭として改築しました。これが普門寺城の始まりです。永禄6年(1563年)には晴元が普門寺で亡くなり、永禄9年(1566年)には足利義栄が将軍宣下を受け、室町幕府の征夷大将軍に就任するなど、戦国時代の重要な舞台となりました。

慶長9年(1604年)には臨済宗妙心寺派に転派、龍安寺の末寺となります。元和3年(1617年)には龍渓性潜が入山し、40年をかけて寺院の整備を行い、普門寺は隆盛を極めます。

明暦元年(1655年)、中国明の高僧、隠元隆琦禅師が普門寺に招かれました。隠元禅師は、黄檗宗総本山・萬福寺の開山以前の約7年半を普門寺の住持として過ごしました。この間、普門寺は黄檗宗に改宗しますが、妙心寺との間で対立が生じます。隠元禅師の萬福寺移転後、普門寺は再び臨済宗妙心寺派に戻り、龍安寺の輪番所となりました。

明治時代の廃仏毀釈により、普門寺は多くの堂宇を失い、昭和初期まで荒廃が続きました。しかし、その後再興を果たし、1977年には方丈が重要文化財に、1981年には庭園が国指定名勝に指定されるなど、その歴史と文化遺産が認められています。境内には、細川晴元の墓と伝えられる宝篋印塔も現存しています。

見どころ

方丈

重要文化財に指定されている方丈は、本堂として利用されています。永禄年間(1558-1570)の建立とされ、元和7年(1621年)に現在地に移築されました。1982年には大規模な解体修理が行われ、創建当時の姿に復元されています。狩野安信筆の襖絵も必見です。

庭園

「観音補陀落山の庭」として知られる庭園は、国指定名勝です。阿武山を借景とした池泉式の枯山水庭園で、京都の妙蓮寺の僧・玉淵坊の作と伝えられています。桂離宮の庭園と類似した石組みも見られ、独特の様式美を誇ります。

普門寺城跡

普門寺境内には、普門寺城の遺構である土塁の一部が残っています。かつては、現在の境内だけでなく、周辺の三輪神社、本照寺なども城郭の一部であったと推測されています。

アクセスと周辺情報

普門寺へのアクセスは、JR京都線または阪急京都本線「富田駅」から徒歩約15分です。無料駐車場も完備されています。周辺には、本照寺、三輪神社など、歴史的な建造物や公園が点在しています。

まとめ

普門寺は、長きに渡る歴史の中で、数々の出来事を経てきた寺院です。戦国時代の遺構、著名な禅僧の滞在、そして美しい庭園など、見どころは多岐に渡ります。高槻を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その歴史と文化に触れてみてください。

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