暴れ九庵

暴れ九庵

『暴れ九庵』（あばれきゅうあん）は、1984年10月から1985年3月にかけてフジテレビ系列で放送された時代劇です。この作品は関西テレビと東宝が製作し、全25回にわたって放映されました。火曜夜10時からの枠で、視聴者に親しまれました。

概要

本作の主役を務めるのは俳優の風間杜夫。彼は1982年公開の映画『蒲田行進曲』や、TBS系のドラマ『スチュワーデス物語』で一躍名を馳せた人気俳優です。『暴れ九庵』は、風間のテレビ時代劇初主演作品としても知られています。物語の中心人物である医者・諸井九庵は「医者は殺生をしない」という信念を持った情熱的な男で、敵陣に単身乗り込み、常に窮地に陥る設定が特徴的です。

彼は高下駄を履いて戦う姿が話題となり、特に第8話では、過去に共演した堀ちえみが町娘役としてゲスト出演するなど、キャストの組み合わせも見どころです。しかし、風間自身は大河ドラマ『春の波涛』への出演が決まったため、後期のエピソードには九庵の出番が減る回もありました。

物語のテーマには、善悪の対立がはっきりと描かれています。市民が悪人に苦しめられる中、町医者が立ち上がるという構図は、他の時代劇と共通する点もあります。この点では、『破れ傘刀舟悪人狩り』とも似通っていますが、主人公が悪を討つのではなく、侠客がその役割を果たすというユニークな展開が特徴的です。

あらすじ

物語の主な舞台は江戸時代後期の神田です。若き漢方医・諸井九庵は、正義感が強く、患者たちからの信頼も厚い医者です。彼は自身の信念に則り、悪人が街の人々を苦しめる光景を見つけるたびに、怒りを覚え単身で戦いに出かけます。しかし、数に勝る敵に立ち向かう彼は、しばしば危険な目に遭います。

そんな彼を救うのが、侠客・泪橋の伊助です。実は、彼は無鉄砲な九庵を心配した兄・一亭南大の手配により彼を支援している存在です。伊助は九庵が危険な状況に陥る際、手元にドスを持ちながら悪人たちに立ち向かい、共に戦います。

スタッフとキャスト

このドラマは、押川国秋や和久田正明、野波静雄を筆頭に多くの脚本家の作品と、児玉進や高瀬昌弘、長谷和夫らの監督によって仕上げられました。音楽は鏑木創が担当し、視覚的にも楽しませてくれます。主要キャストには、九庵を演じる風間杜夫のほか、半井千鶴役に星野知子、伊助役には古尾谷雅人が名を連ねています。

九庵の助手として山田邦子が演じるおかねや、千鶴の助手を務める二人の奉公人など、多彩なキャラクターたちが事件を引き立てます。

主題歌と放映

主題歌「恋びとたち」は風間杜夫が歌い、視聴者の心に残る名曲として親しまれました。

『暴れ九庵』は時代劇の枠を超え、正義感溢れるクールなヒーローによる物語として、多くのファンに愛された作品です。その後も懐かしむ方々にとって、特別な作品として記憶に残っています。

もう一度検索