曲舞

曲舞（くせまい）とは

曲舞は、中世に発祥した日本の踊り芸能の一つで、南北朝時代から室町時代にかけて盛んに行われました。「舞」と略して呼ばれることもあり、「久世舞」「九世舞」とも表記されます。この芸能は、後の幸若舞へと発展する重要な母体となりました。

起源と成立

曲舞の正確な起源は明らかではありませんが、15世紀末から16世紀初頭に成立したとされる『七十一番職人歌合』には、白拍子と対比して描かれています。このことから、平安時代末期に生まれた白拍子舞が、曲舞のルーツであるという説があります。服装や囃子に共通点が見られることが、この説の根拠となっています。

芸能としての特徴

曲舞は、物語に韻律をつけた歌を、節と伴奏に合わせて歌い舞う芸能です。踊り手には、稚児（子供）と男性がいました。稚児は水干、大口、立烏帽子を身に着け、男性は水干の代わりに直垂を着用し、扇を持って舞うのが基本スタイルでした。また、男装した女性が踊る「女曲舞」も存在しました。

曲舞は、単なる踊りではなく、物語性を持つ点が大きな特徴です。歌と踊りが一体となり、観客を物語の世界へと引き込みました。

現代への影響

謡曲の『山姥』や『百万』は、古来の曲舞の様子を現代に伝えていると評されています。これらの謡曲を通して、当時の曲舞の雰囲気を感じることができます。しかし、室町時代中期以降、曲舞は特に幸若というスタイルで継承されるようになり、その独自の発展を遂げました。

幸若舞は、曲舞の流れを汲みながらも、独自のスタイルを確立しました。現代では、幸若舞を通して、曲舞の面影を辿ることができます。

まとめ

曲舞は、中世日本の芸能文化において重要な位置を占める踊り芸能です。物語性を持ち、歌と踊りを融合させたそのスタイルは、後の幸若舞へと受け継がれました。現在では、謡曲や幸若舞を通して、その一部を垣間見ることができます。

参考文献

高山茂「曲舞」小学館編『日本大百科全書』（スーパーニッポニカProfessional Win版）小学館、2004年2月。ISBN 4099067459

関連項目

幸若舞

外部リンク

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