曲阜市

曲阜市（きょくふし）は、中華人民共和国の山東[[省]]済寧市に属する県級市であり、済南市から約130kmの位置にあります。市を流れる泗河（泗水）は、曲阜の地を東から西へ貫通しており、周囲の自然環境の美しさと共に歴史的な背景を持つ重要な場所として知られています。曲阜は、周・春秋時代に存在した魯国の中心地であり、偉大な思想家孔子の生誕の地として世界的に有名です。また、曲阜は中国政府から「国家歴史文化名城」の称号を授与され、1994年にはユネスコの世界遺産にも登録されています。

曲阜の歴史は非常に古く、伝説によると、三皇五帝の時代に炎帝（神農氏）や黄帝がこの地に都を設けたとされています。後に周が成立すると、周公旦が魯国を統治し、曲阜は873年間にわたって魯国の都として繁栄しました。当時の曲阜は広大な城壁に囲まれ、王族の宮殿や公共施設が整然と配置され、「礼儀の邦」としての模範であったと伝えられています。

春秋時代に孔子が現れ、彼の哲学は後に儒教となり、中国や東アジア全体に非常に大きな影響を与えました。孔子の死後わずか1年後、魯公は遺族に対して祭祀を行い、その後の時代においても孔子は尊敬され続けました。代々孔子の子孫は曲阜に住み続け、「衍聖公」という名誉ある称号を受け継いでいます。21世紀の現在でも、その血筋は続き、曲阜周辺には多数の孔姓の人々が暮らしています。曲阜に存在する孔子廟や孔府は、歴代の皇帝による保護の下で拡大し、壮大な建築群を形成しています。一方で、周辺には約10万の孔家の墓がある孔林も存在し、これもまた世界最大の家族墓地として知られています。これらの「三孔」（孔府・孔廟・孔林）は馴染み深い世界遺産として、歴史や文化を体現する場となっています。

戦国時代には魯国が楚国に滅ぼされ、その後も様々な時代を経て会が続きました。隋の時代に曲阜県と名づけられ、明清時代も孔家の中心地として栄えましたが、近代になって移り住むこととなりました。1982年には国家歴史文化名城としての指定を受け、1986年には曲阜市に昇格しました。

曲阜の経済は主に農業が中心で、主な作物には小麦やトウモロコシ、綿花が挙げられます。また、石炭産業や酒造業も展開されています。交通面では、京滬線と兗石線が曲阜市を通っており、京滬高速鉄道の曲阜東駅も利用可能です。

市内には曲阜師範大学があり、教育環境も整っています。観光名所としては孔廟や孔府、曲阜魯国故城などがあり、多くの観光客が訪れます。また、友好都市として日本の多久市と交流関係を結んでいます。曲阜市はその歴史的・文化的な豊かさから、多くの人々にとって魅力的な訪問先となっているのです。

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