曹宇

曹宇（そう う）

曹宇（生年不詳 - 278年?）は、中国三国時代の魏の皇族で、父は曹操。字は彭祖。『三国志』魏書「武文世王公伝」に記録が残る人物です。

生涯

211年に後漢朝廷から都郷侯に封じられたのを皮切りに、217年には魯陽侯となりました。魏帝国成立後は下邳王（かひおう）（222年）に昇格しましたが、224年に文帝（曹丕）が諸王を県王に格下げする詔勅を発布したため、これにより単父県王（ぜんぷけんおう）とされました。曹叡（明帝）の時代になると、232年に以前の命令が変更され、燕王（えんおう）に封じられています。

甥である曹叡（明帝）とは、年齢が近かったこともあり、皇太子時代から親友として親交を深め、曹叡の時代には皇族の中でも特に恩寵を受けました。235年には入朝し、237年に鄴（ぎょう）へ帰還しましたが、238年に再び中央へ召し出されました。

239年に曹叡が病に倒れると、曹宇は見舞いのために連日訪れました。曹叡は曹宇を大将軍に任命し、曹肇（そうちょう）・曹爽（そうそう）・夏侯献（かこうけん）・秦朗（しんろう）ら魏の宗室や閣僚らと共に、猶子（ゆうし）である曹芳（そうほう）を補佐させようとしました。しかし、曹宇は謙虚な性格であったため、これを固辞します。これを知った劉放（りゅうほう）と孫資（そんし）は、曹宇が大任を果たすことができないと判断し、曹宇に代えて曹爽・司馬懿（しばい）を後見とするよう進言しました。曹肇らと劉放・孫資らのどちらを重用するかで、曹叡の意志は二転三転しましたが、結局曹宇らは免職となり、中央から遠ざけられることとなりました。

政治的な権限からは遠ざけられましたが、その後も何度か加増を受けています。

曹奐（元帝）が即位した後、曹宇は冬至を祝う上表を提出しました。しかし、その際に「臣」と自称したため、曹奐は直ちに詔勅を下し先例を調査した上で、実父である曹宇（燕王）のために特別待遇を許す措置を採りました。

その後、司馬昭（しばしょう）が蜀征伐を成し遂げ晋王（しんおう）となると、曹奐は司馬昭を父の曹宇よりも上の官位に任じ優遇しました。

265年、曹奐が司馬炎（しばえん）に禅譲し、西晋が成立すると、曹宇は燕公（えんこう）に降封されました。咸寧（かんねい）年間に死去。278年（咸寧4年）、曹奐は亡き父を明帝（曹叡）に合祀したいと願い出ましたが、役人の進言により、司馬炎は詔で「王は魏の後継者であり、その地位は重い。個人的な親類のために許可することはできない」と却下しました。

人物

曹宇は、曹叡との親密な関係で知られ、その恩寵を受けましたが、政治的な駆け引きには長けていなかったようです。謙虚な性格であったため、権力闘争に巻き込まれることを避け、最終的には中央から遠ざけられました。しかし、その後の曹奐による特別待遇や、曹奐による合祀の願いなどから、一族からは敬意を払われていたことが伺えます。

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