曹肇

曹肇（そう ちょう、生没年不詳）は、中国三国時代の魏に仕えた人物です。字は長思。父は魏の重臣であった曹休で、嫡男として生まれました。弟に曹纂、子に曹興がいます。豫州沛国譙県（現在の安徽省亳州市譙城区）の出身です。

父である曹休が太和2年（228年）に亡くなると、その後を継ぎました。時勢に適応する才覚に優れており、散騎常侍を経て、屯騎校尉に任じられました。これらの役職を通して、曹肇は魏の中枢で活躍しました。

景初2年（238年）、皇帝の曹叡が病に倒れると、曹肇はその側近として後事を託されることになりました。当初、曹叡は曹宇を大将軍に任命し、曹肇は曹宇を補佐する立場でした。曹宇と曹肇は常に曹叡の病床に付き添っていましたが、ある時、相談のために一時的にその場を離れました。この隙をついて、曹宇一派と対立していた劉放と孫資が曹叡のもとに駆けつけ、曹宇一派の悪口を吹き込みました。さらに、曹爽と司馬懿に後事を託すように進言し、曹叡にその意向に沿った詔勅を出させました。

事態は二転三転し、最終的には曹宇一派が宮門から閉め出され、曹肇も事態への対処を誤ったとして罷免されました。曹肇は政治的な陰謀に巻き込まれ、不遇な結果となってしまいました。

正始年間に亡くなり、衛将軍を追贈されました。子の曹興が後を継ぎました。西晋の時代には、孫の曹攄が高名を残し、『晋書』良吏伝にその名が記されています。曹肇の血筋は、時代を超えてその存在感を示しました。

曹肇は、父の威光を受け継ぎながらも、自らの才能で魏に貢献しようとしましたが、時代の波に翻弄された人物と言えるでしょう。しかし、彼の子孫は西晋の時代に活躍し、その血脈は歴史に刻まれました。

参考文献
* 中国語版ウィキソース'>[陳寿]]撰、裴松之注『三国志』巻9 曹休伝及び付曹肇伝([https://zh.wikisource.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9C%8B%E5%BF%97/%E5%8D%B79)

もう一度検索