曽国荃

曽国荃（そう こくせん）

曽国荃（1824年10月12日 - 1890年11月13日）は、清朝末期の軍人、政治家です。字は沅甫（げんぽ）。湖南省長沙府湘郷県（現在の双峰県荷葉鎮）の出身で、清朝の著名な大臣である曽国藩の弟、曽国華の弟、曽貞幹の兄にあたります。

生涯

曽国荃は、兄である曽国藩が率いる湘軍の指揮官の一人として、太平天国の乱の鎮圧に大きく貢献しました。咸豊6年（1856年）には、兄が江西省で苦戦しているという知らせを受け、湖南巡撫の駱秉章に願い出て3千の兵を集め、吉安に救援に向かいました。翌7年（1857年）に吉安を陥落させ、その功績により知府に抜擢されました。

咸豊8年（1859年）には江西省全土を掌握し、道員に昇進。その後、九江を出発し、黄州から安徽省へと進軍しました。咸豊10年（1860年）からは安慶を包囲し、陳玉成の援軍に度々敗れるも、翌11年（1861年）に安慶を陥落させることに成功しました。

同治元年（1862年）には浙江按察使、ついで江蘇布政使に任命され、雨花台から天京（太平天国の首都）への攻撃を開始しました。同治3年（1864年）、激戦の末に天京を陥落させ、太平天国を滅亡に追い込みました。しかし、安慶と南京での大規模な殺戮や財物の略奪は、後に大きな非難を浴びることとなりました。

同治4年（1865年）には湖北巡撫に任命されましたが、同治6年（1867年）には、李鴻章と共に捻軍の鎮圧にあたったものの、作戦の失敗を理由に病と称して退職しました。その後、光緒元年（1875年）に官界に復帰し、陝西巡撫、山西巡撫、両広総督を歴任、光緒10年（1884年）からは両江総督を務めました。

光緒16年（1890年）に66歳で死去。死後、忠襄公の諡号を贈られました。また、同年には甥である曽紀沢も亡くなっています。

人物

曽国荃は、軍人としての卓越した能力を持つ一方、その残虐な行為から非難されることもありました。太平天国の乱を鎮圧する過程での殺戮や略奪は、彼の人物像に影を落とすものとなっています。また、政治家としても要職を歴任し、清朝末期の動乱期において重要な役割を果たしました。

家族・親族

曽国荃は、曽国藩、曽国華の弟であり、曽貞幹の兄です。曽一族は、清朝末期において大きな影響力を持っていた一族として知られています。

曽国荃の功績と批判

曽国荃は、太平天国の乱を鎮圧した功績によって清朝に貢献しましたが、その過程で多くの殺戮と略奪を行ったことによって、非難の声も多くありました。彼の行動は、歴史的に複雑な評価がされており、現代においても議論の対象となっています。

まとめ

曽国荃は、清朝末期の動乱期を生き抜いた軍人、政治家であり、その生涯は、当時の社会情勢を色濃く反映しています。太平天国の乱の鎮圧に大きく貢献した一方で、多くの非難も受けた人物として、歴史に名を刻んでいます。

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