曽我八幡宮 (富士宮市上井出)

曽我八幡宮

曽我八幡宮は、静岡県富士宮市上井出に位置する神社で、応神天皇、曽我祐成、曽我時致、そして虎御前を祀っています。富士宮市内には他にも曽我八幡宮がいくつか存在しますが、この上井出の曽我八幡宮は特に重要な神社とされています。

概要

「富士郡神社銘鑑」によれば、主祭神は応神天皇であり、相殿には曽我兄弟（曽我祐成と曽我時致）と虎御前が祀られています。境内には三者の像が安置されています。文久元年（1861年）の『駿河志料』には、井出氏が伝える縁起が記録されており、それによれば、当社の神像は文覚から源頼朝に授けられたものとされています。また、頼朝は丹羽良好に曽我兄弟の像を作るよう命じたと伝えられています。

この縁起は「曾我八幡宮縁起」として現存していますが、製作年は不明です。社伝によると、源頼朝は曽我兄弟の仇討ちの際に、彼らの孝心に深く感銘を受け、建久8年（1197年）に兄弟の英霊を祀るよう畠山重忠に命じたとされています。頼朝が丹波法眼に作成を命じた兄弟の像は、地元の名手である渡辺主水に預けられ、渡辺主水が社殿を建立したと伝えられています。さらに、応神天皇の像は頼朝と関わりのあった文覚が作成したとされています。

これらの社伝や地誌には、類似する伝承が数多く記録されています。また、当社の宮守である木本家には、曽我八幡宮の縁起が残されていたと伝えられていますが、現在は失われており、縁起を基にした碑文のみが残っています。碑文には、建久8年（1197年）9月28日に社殿が造営されたと記されています。

江戸時代には、「曽我物語」が歌舞伎などで人気を博し、曽我兄弟の像や兄弟に関する物品が江戸で公開されるようになりました。曽我八幡宮は、その際に得られた浄財によって修復されたと伝えられています。上井出曽我八幡宮が鎮座するこの地は、現在では大字「上井出」に含まれていますが、江戸時代までは「狩宿村」に属していました。

分社

富士宮市内には、他にも複数の曽我八幡宮が存在します。富士宮市北山中井出には、江戸時代に当社から勧請されたとされる曽我八幡宮が鎮座しています。富士宮市北山には二社の曽我八幡宮があり、中井出の曽我八幡宮と浅敷の曽我八幡宮が知られています。また、猪之頭には「鷲鷹八幡宮」という別名を持つ曽我八幡宮があり、曽我兄弟の死後、鷲と鷹が兄弟の臓腑を持ち去り、猪之頭に葬ったという伝説が残っています。

参考文献

渡井一信「富士山西南麓における曽我八幡宮と縁起」『富士学研究』第15号、2018年、1-12頁。

関連項目

曾我兄弟の仇討ち
富士の巻狩り

外部リンク

「富士の巻狩と曽我兄弟の仇討ち」展（富士宮市公式HP）

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