最後の弾丸 (1994年の映画)

最後の弾丸

『最後の弾丸』（英題: The Last Bullet）は、1994年に制作された日本とオーストラリアの共同制作によるテレビドラマです。この作品は、太平洋戦争の終息を迎える時期のボルネオ島で繰り広げられる戦いを舞台に、オーストラリアの新兵スタンレーと日本軍の狙撃手山村の対峙を描いています。原作は柘植久慶の小説「最後の遭遇」で、戦争の悲劇と人間ドラマが交錯しています。

制作背景

本作は、NHKとオーストラリアのナイン・ネットワークとの共同制作であり、オーストラリアの豊かな自然環境を生かしてほぼすべての撮影がジャングルで行われました。日本のハイビジョン技術を活用したことで、映像の美しさにもこだわりが感じられます。日本においては、1995年9月8日にNHK-BS2で初放送され、その後1996年1月6日にはNHK-Gで地上波としても放映されました。

ストーリー概要

物語は1945年7月8日のボルネオ・バリクパパンのジャングルから始まります。日本陸軍は上陸したオーストラリア軍第7師団によって追い詰められ、壊滅的状況に直面します。独立歩兵454大隊の田中小隊が行うバンザイ突撃の中で、狙撃手である山村一郎伍長だけが生き残り、彼は豪軍の分隊を待ち伏せします。その結果、新兵スタンレーを除く全ての兵隊が壊滅し、ついに二人の兵士だけが孤立した状態で戦うことになります。

この緊迫した状況下で、両者は互いに生き残るために戦うことを決意しますが、8月には飛行機から投下されたビラによって終戦の知らせが届きます。しかし、山村はそのメッセージを信じることができず、そのために戦いは続けられます。さて、弾薬は少なく、山村には残り弾が1発、スタンレーには2発しか残っていません。

なんとかの思惑が交錯する中、二人は現地の少女が地雷原に迷い込むのを目撃します。スタンレーは慎重に考えた結果、少女を救うために警告をするために近くのヤシの木を撃ちますが、結果は外れてしまいます。同様の葛藤を抱えていた山村も、少女を救うために無事にヤシの実を狙って撃ち、そのおかげで少女は逃げ去ることができました。

その後、豪軍の味方が到着し、山村は進退窮まってしまいます。彼はスタンレーに敬礼をし、高らかに自決を試みることになります。この状況は、戦争の非情さと人間の苦悩、選択を迫られる瞬間を鋭く描写しています。

主要キャスト

山村一郎: 玉置浩二 / 室田日出男
スタンレー・ブレナン: ジェイソン・ドノヴァン（声: 星野充昭） / チャールズ・ティングウェル
山村虎三: 井川比佐志
山村節子: 白島靖代
小峰軍曹: 冷泉公裕
田中少尉: 若林久弥
黒木一等兵: 室山和裕
ピーター・エリオット: ダニエル・リグネイ
* ジェーン: ベス・チャンピオン（声: 弘中くみ子）

スタッフと受賞歴

本作の制作には、磯部信夫（NHK）とクリス・ノーブル（ナイン・ネットワーク）が制作統括を務め、プロデューサーとしては吉田博昭（ティー・ワイ・オー）やジョージナ・ポープ（TWENTY FIRST CITY INC.）が関与しています。また、美術の木村威夫や音響効果の岩崎進など、多くのスタッフが結集しました。

『最後の弾丸』は、1996年の放送文化基金賞の優秀賞やハイビジョン国際映像祭のグランプリなどを受賞しており、戦争 dramas における重要な作品の一つとして位置づけられています。また、このドラマのエンディングで使用された音楽は、安全地帯のアルバム「安全地帯X〜雨のち晴れ〜」に収録されている「茜」に基づいています。二人の兵士の物語を通じて、戦争の惨劇と人間同士の絆を描いた本作は、多くの視聴者に深い印象を残しました。

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