月宮乙女

月宮乙女（つきみや おとめ）

月宮乙女（1915年5月23日 - 生死不明）は、昭和初期に活躍した日本の女優です。神奈川県横浜市伊勢佐木町に生まれ、その華やかな容姿と演技力で、舞台や映画の世界で一時代を築きました。

生涯

舞台女優としての出発

月宮乙女は、父が舞台俳優であった影響で、幼い頃から演劇に親しんで育ちました。1920年、わずか5歳にして新派の木下吉之助一座に入り、子役として初舞台を踏みます。その後、五月信子の近代座（当時は「葉村光子」の芸名）、伊井蓉峰一座などを経て、着実にキャリアを重ねていきました。

映画界への転身とスターへの階段

1932年、月宮乙女は東亜キネマから独立した尾上菊太郎の菊太郎プロに入り、映画界へ転身。「月宮乙女」の芸名で、尾上菊太郎主演の作品に多数出演し、若手女優として注目を集めます。

代表作としては、『元禄村雨格子』、『十六夜蜘蛛妹』、『開化の与太者』などがあります。同時期に入社した月浦かすみ（のちの大倉千代子）と共に、歌川絹枝に次ぐ若手女優として人気を博しました。

結婚、夫の戦死、そして新たな道へ

1933年、宝塚キネマのスター俳優であった桂章太郎と結婚。しかし、1935年に夫が召集され、戦死するという悲劇に見舞われます。

夫の死後、月宮乙女は早川雪洲が設立した日本仏教劇協会に参加し、舞台女優として活動を再開。その後、阪東妻三郎プロダクションに招かれ、阪東妻三郎の相手役を務めるなど、再びスターへの道を歩み始めます。

戦後の活動と引退

戦中から戦後にかけては、尾上菊太郎一座や沢村国太郎の新伎座などに参加し、舞台を中心に活動。1946年には、大映の映画『恋三味線』で映画界に復帰します。

その後も、映画や舞台に出演し続けましたが、1966年、大映の映画『大魔神』で魔神封じの巫女を演じた後、引退しました。

人物

月宮乙女は、その美貌と演技力に加え、明るく親しみやすい人柄で多くのファンを魅了しました。映画界では、海江田譲二との共演が多く、二人のコンビは人気を博しました。

主な出演作品

映画
元禄村雨格子 (1932年)
十六夜蜘蛛妹 (1932年)
開化の与太者 (1933年)
関の佐太郎 (1933年)
風流小唄侍 (1936年)
吉良の仁吉 (1937年)
大魔神 (1966年)

舞台
釈迦一代記 (1935年)

備考

NHKの連続テレビ小説『おちょやん』では、月宮乙女をモデルにした人物が登場しました。

参考文献

日本映画俳優名鑑 昭和九年版、映画世界社、1934年
日本映画俳優全集・男優編、キネマ旬報社、1979年
日本映画俳優全集・女優編、キネマ旬報社、1980年
読売新聞大阪本社文化部『上方放送お笑い史』 、読売新聞社 、1999年

外部リンク

月宮乙女 - allcinema
月宮乙女 - 日本映画データベース
月宮乙女 - KINENOTE
Otome Tsukimiya - IMDb（英語）

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