月形鷦窠

月形鷦窠（つきがた しょうか）は、宝暦7年（1757年）に生まれ、天保13年12月6日（1843年1月6日）に没した、江戸時代中期から後期にかけて活躍した儒学者、漢学者、教育者です。名は質（すなお）、勝孟、勝文、潤といい、字（あざな）は君璞でした。通称としては、六次、市平、七助などが用いられ、鷦窠、南埠といった号も使用しました。彼は、月形深蔵（漪嵐）と健助の父でもあります。

筑前国（現在の福岡県）において、福岡藩藩士である月形有禧の子として生を受けました。幼少の頃より学問に励み、真藤峨眉、竹田定良（梅廬）といった当時の著名な学者に師事し、儒学や漢学の知識を深めました。

天明元年（1781年）には家督を相続し、月形家の当主となりました。天明4年（1784年）には、福岡藩の藩校である修猷館において指南加勢（教員）となり、後進の育成に尽力しました。天明6年（1786年）には儒者方に転じ、より専門的に儒学の研究と教育に携わることとなります。

寛政7年（1795年）には、学問の更なる向上を目指して京都に遊学し、西依成斎、若槻幾斎、鈴木潤斎といった当時の著名な学者に師事しました。京都での学びを通して、彼は自身の学識をより一層深め、思想を深化させました。

享和元年（1801年）には福岡藩に戻り、納戸組という役職に就きました。その後、奥頭取、江戸詰方、侍講など、藩の要職を歴任し、藩政に貢献しました。また、一時的に秋月藩の藩校である稽古館で講義を行ったこともあります。

文政2年（1819年）に隠居し、第一線から退きましたが、その後も学問への情熱は衰えることなく、研究と著作活動を続けました。彼の著作としては、『山園雑興』が知られています。この書物には、彼の学問的な考察や思想、日々の生活における雑感などが記されており、当時の社会や文化を知る上で貴重な資料となっています。

月形鷦窠は、その生涯を通じて儒学の普及と後進の育成に尽力し、江戸時代後期の学術文化の発展に大きく貢献しました。彼の学問に対する真摯な姿勢と、教育者としての情熱は、多くの人々に感銘を与え、後世にまで語り継がれています。

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