有友正親

有友 正親（ありとも まさちか）

有友正親は、1855年に伊予国喜多郡若宮村（現在の愛媛県大洲市）に生まれ、政治、農業、実業の各分野で積極的な活動を展開した明治時代の著名な人物です。旧姓は檜田であり、9歳のときに有友平右衛門の養子となり、その後の生涯を通じて地域社会に大きく貢献しました。

学問と農耕の道

彼は地元の藩校で学びましたが、主に独学によって知識を磨きました。彼の農業は地域経済の基盤となり、農家としての理念を持ち続けることができました。明治維新後の不安定な時代背景の中で、彼は地域農民の代表としてその声を政治の場へと届ける熱意をもっていました。

政治活動の歩み

有友は多くの役職を歴任し、その活動は政界に留まらず、地域の農業発展にも寄与しました。彼は、1882年に創立された立憲改進党に加入し、1884年には愛媛県会議員に選ばれました。その後、松方デフレによる困窮を抱える農民の意見代表として、県の四国新道開削計画に対する反対運動を展開しました。

さらに、1887年の三大事件建白運動では、喜多郡の代表者として多くの支持を集めました。彼はまた、菅田村の会議員と議長を務め、地元の意見を反映させる重要な役割を果たしました。

衆議院議員としての活躍

有友は、1890年に開催された第一回衆議院議員総選挙で愛媛県第3区から立候補し、見事当選を果たしました。改進党に所属した彼は、続く第2回総選挙でも再選され、衆議院議員を2期にわたって務めることになりました。この間、彼の活動は広範囲で、菅田村長や農会の会長、さらには愛媛県農会長などの役職も歴任しました。

実業家としての貢献

政治活動と並行して、有友は実業界でも手腕を発揮しました。肱川会社の取締役や、大洲商業銀行、大洲製糸会社の社長などを務め、地域経済発展に寄与しました。このように、彼の活動は政治と経済、教育にまたがるものであり、地域の農業はもとより、社会全体の発展に寄与しました。

家族と親族

有友の家族関係もまた興味深いものです。彼の義弟には、同じく実業家で衆議院議員だった井上要がいます。さらに、養女として貞があり、彼女は鉄道省の著名な技師である曽根嘉治郎の妻となりました。

総括

有友正親はその一生を通じて、農民の声を代弁し、地域社会の発展のために尽力した政治家であり実業家でした。彼の業績は単なる個人の成功に留まらず、愛媛県の発展に寄与した重要な功績として評価されています。彼の生涯は、当時の日本社会における農業と政治の融合を示しており、その影響は今なお多くの人々に語り継がれています。

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