井上要

井上 要の生涯

井上要（いのうえ かなめ）は、1865年5月29日、伊予国喜多郡菅田村（現在の愛媛県大洲市）に生まれました。彼の家庭は庄屋の家柄であり、父・有友平衛の長男として育ちました。後に井上家の養嗣子となり、教育の道を切り開いていきます。

地元の小学校と中学校での学びを経て、1882年に上京し、丸山作楽塾や岡松甕谷塾でさらに学びました。その翌年には、漢学者鈴村譲の海南書院で学ぶことになります。法学を独自に学習し、弁護士試験に合格。1888年には学校に再度入学しますが、義兄の説得により中退し、松山市三番町で代言人事務所を開設しました。そして、同年には立憲改進党に参加しました。

その後、1897年には愛媛県会議員に選ばれ、議長にも就任。1902年には衆議院議員総選挙から当選し、1908年までの3期を務めました。政界の第一線からは自らの地盤を才賀藤吉に譲ることで退きましたが、その後も実業界での活動を続けます。

1888年には伊予鉄道の取締役兼監査役としての地位を得て、その後社長を歴任。1927年から1933年まで松山商工会議所の会頭も汲みました。1933年に伊予鉄道電気の役職を辞職し、退職金は愛媛県立図書館の建設費として寄贈されることとなりました。

井上は教育にも尽力し、1902年には北予中学会の理事に就任。その後、秋山好古を校長に迎え、北予中学校（現・松山北高校）の運営に携わりました。また、松山高等商業学校（現在の松山大学）の設立にも寄与し、地域の教育環境を向上させました。さらには道後グラウンドの建設にも関与し、愛媛県のスポーツ振興に寄与することとなりました。

井上は1943年3月18日に79歳で逝去し、法名は謙徳院要道不昧居士です。葬儀は松山市内の寺院にて行われました。

人物と趣味

井上は友人であった渋沢栄一から贈られた雅号「不去庵」を用いて和歌を詠み、伊予史談会の支援を行い多数の論文を寄稿しました。東京専門学校の中退者でありながらも、1894年には同校の推薦校友となり、1914年には早稲田大学校友有志大会で祝辞を述べるなど、その後の交流も続けました。

趣味は囲碁であり、宗教は仏教を信仰していました。住所は愛媛県松山市豊坂町2丁目の本宅や、温泉郡三津浜町の別荘「不去庵」となっていました。

家族

井上の家族は彼の生涯の中でも重要な役割を果たしました。妻のチカヨは愛媛出身で、彼らには長女、次女、長男がいました。長女は鉄道省勅任技師の妻となり、次女は工学士の夫を持ちました。長男の平一郎は慶應義塾を卒業し、井菱商会を経営していました。彼の親人口には、父や母、義兄などが絡んでおり、当時の社会で重要な影響を与えた人々でした。

栄典

井上はその業績に対して評価され、1906年の勲四等旭日小綬章を始め、様々な栄典を受けました。1943年には従六位に叙され、その貢献は高く評価されています。

本記事からは、井上要の多面的な業績と、彼が地域社会に与えた影響を理解することができるでしょう。

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