有田哲三

有田 哲三（ありた てつぞう）

1949年10月21日、山口県宇部市に生まれた有田哲三氏は、かつてプロ野球界で投手として活躍した人物です。実の弟には、同じくプロ野球選手（捕手）として知られる有田修三氏がいます。兄弟揃ってプロ野球選手となったケースとして、その名が挙げられます。

高校野球での足跡

山口県立宇部商業高校へ進学後、1年生から1学年上の主戦投手である三原義昭氏（後に松下電器に進む）の控えとして登板機会を得ました。2年生となった1965年秋季大会の山口県予選決勝では先発のマウンドを任されますが、早鞆高校の坂本義雄投手に完封負けを喫します。しかし、チームは早鞆高校とともに秋季中国大会へ進出。準決勝で邇摩高校の岡田光雄投手（後に東京オリオンズに指名される）に抑えられて敗退したものの、翌1966年春の選抜高等学校野球大会への出場を決めました。

春の選抜大会では快進撃を見せ、チームは準決勝まで勝ち進みます。しかし、その大会で春夏連覇を果たすことになる中京商業高校（現・中京大中京高校）との対戦では、延長15回に及ぶ激闘の末、サヨナラ負けを喫しました。この大会ではエースの三原氏がすべての試合を投げ抜き、有田氏に登板の機会はありませんでした。3年生として迎えた1967年夏の甲子園を目指す山口県予選は、準々決勝で久賀高校に敗れ、甲子園への連続出場は叶いませんでした。高校時代のチームメイトには、三原氏の他にも1学年上の玉国光男氏（後に宇部商業高校監督として甲子園準優勝）、同期の安田泰一氏らがいました。

社会人野球を経てプロ入り

高校卒業を控えた1967年のプロ野球ドラフト会議で、有田氏は広島カープから8位指名を受けますが、この時は入団を辞退します。同じくドラフト指名を蹴った邇摩高校時代のライバルである岡田光雄氏らとともに、強豪社会人野球チームである松下電器へ入社しました。

しかし、松下電器入社から約1年後のドラフト最終期限（1968年10月10日）を待たずに、有田氏は指名権を保持していた広島カープへ入団することを決め、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。

プロでの投球と引退

広島カープに入団後、1971年に初めて一軍のマウンドに立ちます。プロ入り後の初勝利は、1972年10月8日のヤクルトアトムズ戦で記録されました。この試合では、永本裕章投手の後を受けてリリーフ登板し、勝利投手となっています。

しかし、その後は一軍での活躍の場になかなか恵まれず、1973年のシーズン終了後に現役を引退することを発表しました。プロ野球選手としてのキャリアは短い期間で幕を閉じましたが、高校時代には甲子園で強豪校と渡り合い、プロの世界でも一軍登板や勝利を経験しました。

投球スタイルとしては、やや変則的なフォームから、得意のカーブを軸に、スライダーやフォークボールなども投げ分けていたとされています。

記録と背番号

初登板: 1971年4月20日、対大洋ホエールズ4回戦（川崎球場）、8回裏に3番手で救援登板・完了、1回無失点。
初勝利: 1972年10月8日、対ヤクルトアトムズ25回戦（広島市民球場）、5回表1死から2番手で救援登板・完了、4回2/3無失点。

プロ野球で着用した背番号は以下の通りです。

56 （1969年）
33 （1970年 - 1973年）

短いプロ野球生活でしたが、その経歴には高校時代の甲子園での活躍や、社会人野球を経てプロ入りするという異色の道のりが刻まれています。実弟の有田修三氏とともにプロ野球史に名を残す存在です。

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