有田屋清右衛門

有田屋清右衛門（ありたや せいえもん）は、生没年不詳の江戸時代の地本問屋です。主に「有永堂（ありえいどう）」、「有清（ありせい）」という屋号を用いていました。活動時期は天保年間から文久・嘉永年間にかけてで、江戸の芝神明前や宇田川町平吉店を拠点に営業を行っていました。

有田屋清右衛門は、歌川広重、歌川国芳、歌川芳員、歌川国貞といった著名な浮世絵師たちの錦絵を出版していました。これらの作品は、当時の風俗や風景、物語などを鮮やかに描き出し、江戸の人々の生活や文化を今日に伝える貴重な資料となっています。

有田屋清右衛門が手がけた主な作品

以下に、有田屋清右衛門が手がけた主な作品を挙げます。

歌川広重
『近江八景』：横中判の揃物で、天保末期に制作された錦絵です。近江の美しい風景が描かれています。
『東海道』：横四ツ切判の揃物で、弘化年間に制作された錦絵です。東海道の宿場町や名所が描かれています。
『忠臣蔵』：赤穂事件を題材にした作品です。忠臣たちの活躍や悲劇が描かれています。
『婦久徳金の成木』：詳細不明ですが、当時の風俗や縁起物を描いた作品と考えられます。

歌川国芳
『四季心女遊』：中判の3枚続で、四季折々の女性の姿を描いた作品です。
『当世江戸鹿子』：江戸の流行や風俗を描いた作品です。

歌川芳員
『五ヶ国異人酒宴之図』：大判3枚続で、文久元年（1861年）に制作された錦絵です。異国の人々が酒宴を楽しむ様子を描いています。

歌川国貞
『天竺徳兵衛万里入船』：天竺徳兵衛の冒険譚を描いた作品です。

これらの作品は、有田屋清右衛門の出版活動の一端を示すもので、当時の浮世絵版画の技術や文化を理解する上で非常に重要な資料となっています。

有田屋清右衛門は、これらの浮世絵を通じて、江戸の人々に娯楽を提供し、文化的な発展に貢献しました。彼の出版した作品は、現在でも多くの人々に愛され、研究の対象となっています。

参考文献

日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』第3巻 大修館書店、1982年 ※135頁
吉田漱 『浮世絵の基礎知識』 雄山閣、1987年 ※141頁

これらの文献は、有田屋清右衛門や当時の浮世絵についてより深く知るための参考資料となります。

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