服部 (品部)

服部（はとりべ）の由来と役割

服部は、機織の技術を持ち、大化の改新以前から朝廷に仕えていた品部です。その名は「機織部」（はたおりべ）が変化したもので、後に「部」の音が省略され、促音が加わって「はっとり」とも呼ばれるようになりました。

概要

「服織」とは、大まかに言えば「機織」を指し、機（はた）を用いて布を織ること、またその技術を生業としている人々を指します。服部は地方の伴造に統率され、「服部連氏」と呼ばれる中央の氏族によって管理され、彼らは朝廷に対して織物を納める役割を果たしていました。『新撰姓氏録』の記述によれば、摂津国の「服部連」は允恭天皇の時代に織部司に任命され、各地の織部を取りまとめていたことが分かります。

『和名類聚抄』の記録によると、服部の居住地である「服部郷」は九州を除く日本各地に広がっており、その存在の広がりから、この部が製造する織物は絹に限らず、麻布などの植物繊維からも成ることが示唆されます。朝廷においては、他にも神服部や殿服部、倭文部、長幡部などが同様に織物の製作を担当し、専門の業務に従事していました。特に伊勢国の神服部は伊勢神宮で用いる神衣を作成するために重要な役割を担っています。

記録と歴史

古くからの記録において、服部部族の重要な歴史的背景がうかがえます。『古事記』では、開化天皇の皇子である日子坐王の子神大根王が「三野国の本巣国造・長幡部連の祖」とされ、また応神天皇の時代に百済から技術者が貢上される記録も残されています。このことから、海外の技術の影響を受けて機織の技術が大いに発展したことが推測されます。

特に応神天皇の時代には、様々な織物技術が進化しており、阿知使主の父子が南朝から工女を連れ帰ったエピソードなど、さらなる技術の向上が強調されています。太田英蔵の研究によると、古墳時代の初期に出土した絹布は古い機を用いて織られていたと考えられていますが、6世紀中頃のものでは進化した機が使用されており、生産性も飛躍的に向上しています。

その後の経緯

大化の改新により、多くの部族は解放されましたが、律令体制では特定の渡来系「部」が引き続き拘束され、政府の織部司などに所属しました。このような歴史的背景を持つ服部は、日本の織物文化において重要な役割を果たしてきたことがわかります。

全体を通して、服部は日本の歴史において織物の生産や技術の発展に深く関わり、その技術の進化は朝廷の重要な基盤を支える要素となりました。

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