服部有吉

服部有吉：芸術一家に生まれたバレエ界の異才

服部有吉氏は、1980年東京都生まれのバレエダンサー、振付家です。華麗なる経歴と、芸術一家に生まれたという背景を持つ彼の物語は、まさにドラマチックです。

芸術一家とバレエへの道

彼の祖父は、昭和を代表する作曲家、服部良一氏。父は俳優の服部良次氏（芸名：吉次）、母は女優の石井くに子氏と、芸術の才能は血筋を受け継いでいると言えるでしょう。伯父は作曲家の服部克久氏、従兄は服部隆之氏という錚々たる顔ぶれも、彼の芸術への道を後押ししたと言えるかもしれません。

幼少期から芸術に囲まれた環境で育ち、1986年にクラシックバレエを始めます。その後、1993年にはジュニアバレエ/AMスチューデンツに入所、1994年には単身ハンブルク・バレエ学校に留学するなど、並々ならぬ努力を重ねてきました。

ハンブルクから世界へ

1999年にハンブルク・バレエ団研修生として入団、2000年には正団員に昇格。そして2003年には、東洋人として初めてソリストの地位を獲得するという快挙を成し遂げます。この経験は、彼のキャリアに大きな転機となり、国際的な舞台への道を切り開くこととなります。

ジョン・ノイマイヤー振付の多くの作品に出演し、彼の才能を遺憾なく発揮しました。主なレパートリーには、「ニジンスキー」のスタニスラフ役、「冬の旅」の主役、「真夏の夜の夢」のパック役、「くるみ割り人形」のフリッツ役、「プレリュード」の「いつもそこにいる人」役などがあります。他にも、「ラ・バヤデール」、「ラ・フィユ・マル・ガルデ」、「マタイ受難曲」といった名作にも出演し、高い評価を得ました。

アルバータ・バレエ団での活躍

2006年にはアルバータ・バレエ団に移籍し、プリンシパルとして10年間活躍しました。この間、コリオグラファーとしての才能も開花させ、数々の作品を創作しています。ここでは、ジョージ・バランシン振付の「ルビー」でプリンシパルを務めたことや、ジャン・グラン＝メートル振付の「シンデレラ」、「レクイエム」、「真夏の夜の夢」、「くるみ割り人形」、「ロミオ＆ジュリエット」、「Joni Mitchell's The Fiddle and The Drum」、「Mozart's Requiem」といった作品への出演が特筆に値します。

振付家としての才能

ダンサーとしての活動と並行して、振付家としても才能を発揮してきました。ハンブルク州立歌劇場での「Piece」(2001年)、「Zero」(2003年)、東京・大阪公演での「盤上の敵」(2004年)、「藪の中 / R-Hatter」(2005年)、「Homo-Science / ゴーシュ」(2006年)、「ラプソディ・イン・ブルー」(2007年)など、数々の作品を発表しています。また、カルガリー公演での「Tubular Bells」(2008年)、「Bicker」(2008年)、世田谷美術館での企画・演出「身体展示」(2009年)、東京公演での演出「3D」(2009年、辻本知彦氏と共同)、アルバータバレエ公演「七つの大罪」(2010年)なども手がけています。

俳優としての顔

幼少期から子役として活動を始め、「ハザマとスミちゃん」、「ブリキノマチノ真夏の夜の夢」、「たね」、「炎立つ」などの作品に出演。多様な才能を持つ彼は、バレエの世界にとどまらず、演劇やテレビドラマなど幅広い分野で活躍しています。

受賞歴とメディア出演

彼の才能は高く評価されており、2001年には『Piece』でプリ・ドン・ペリニョン国際振付コンクール奨励賞、2002年にはハンブルク州立歌劇場よりヴィルヘルム・オバーデルファー博士賞、2003年には『Zero』でプリ・ドン・ペリニョン国際振付コンクール観客賞、2006年には舞踊批評家協会新人賞を受賞しています。

また、「情熱大陸」、「英語でしゃべらナイト」、「ジョン・ノイマイヤーの世界」、「ドイツ語会話」、「ニッポン先端人」、「芸術劇場」、「トップランナー」、「名曲探偵アマデウス」など、数多くのテレビ番組にも出演し、その活躍ぶりは広く知られています。

国際的な活躍と未来

2010年にはバンクーバーオリンピック開会式にもダンサーとして出演。2016年にアルバータ・バレエ団を退団した後も、彼の活躍は続いています。芸術一家に生まれ、類まれな才能と努力で世界的なバレエダンサー、振付家として成功を収めた服部有吉氏の今後の活躍に期待が高まります。

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