服部記義

服部記義（はっとり きよし）は、1945年8月5日に埼玉県加須市で生を受けた、日本の元競輪選手である。日本競輪学校には第22期生として入所し、同期には後に競輪界を牽引する福島正幸や藤巻昇といった実力者が名を連ねていた。

選手としての道のり

埼玉県立杉戸農業高等学校を経て、一旦は日本大学へ進学したが、競輪選手を志して1年で大学を中退。厳しい訓練が待つ競輪学校の門を叩いた。卒業後、プロ選手としてデビューを果たしたのは1966年2月10日。地元である大宮競輪場のレースであり、初陣ながら2着という成績を収め、その才能の片鱗を見せた。

華々しい記録と惜敗

選手生活を通じて、最高峰である特別競輪（現在のGIレースに相当）での優勝経験はなかったものの、競輪界における主要な大会の一つである競輪祭では、1974年と1976年の二度にわたり決勝進出を果たしている。1974年の決勝では6着、1976年の決勝では残念ながら7着での失格という結果に終わったが、当時のトップクラスの選手たちと互角に渡り合う実力を持っていたことを示している。一方で、特別競輪に次ぐグレードレースである記念競輪（現在のGIIIに相当）では、その実力を遺憾なく発揮した。記録が確認できる範囲だけでも、通算12回の記念競輪優勝という輝かしい実績を残している。特に1976年の前期には、選手間の強さを示す指標である競走得点において、競走得点率で全選手中第1位となるなど、まさに円熟期を迎えていた。

後進の育成「服部道場」

選手としてのキャリアを積み重ねる傍ら、服部氏は次世代の競輪選手育成にも情熱を注いだ。1974年には私設のトレーニング施設「服部道場」を開設。ここには10人を超える若手選手たちが集まり、服部氏の指導のもと、プロ選手を目指して厳しい練習に励んだ。この道場からは、後にプロ選手として活躍する多くの卒業生を輩出している。その中には、競輪学校31期生の新井正昭氏や、服部氏の実弟にあたる競輪学校36期生の服部雅春氏などがおり、兄弟揃って競輪界に貢献する人材を育て上げたことは特筆される。

引退

長年にわたる選手生活は、2001年12月6日の選手登録削除をもって幕を閉じた。長きにわたる現役生活で、服部氏は通算2770戦に出走し、そのうち541回の勝利を挙げた。これは、およそ35年に及ぶ息の長いキャリアの中で積み重ねられた、努力と実力の証であると言えるだろう。

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