朝乃翔嚆矢

朝乃翔 嚆矢（あさのしょう はじめ）

朝乃翔 嚆矢（本名：小塚 一）は、1969年12月23日に神奈川県で生まれた元大相撲力士です。身長185cm、体重147kgという恵まれた体格を生かし、突っ張りや押しを得意としていました。最高位は西前頭2枚目まで昇り詰め、その活躍は多くの相撲ファンを魅了しました。

生い立ちと入門

小田原市立鴨宮中学校時代はバレーボール部に所属していましたが、相洋高等学校に進学後、相撲部に入部し相撲の世界へ足を踏み入れました。近畿大学に進学してからは、後の朝乃若となる足立武彦らとともに活躍しました。1992年3月場所に幕下60枚目格付出しで初土俵を踏み、当初は本名の大澤を四股名としていましたが、順調に番付を上げていきました。

十両昇進と改名

1993年3月場所には新十両に昇進し、同時に四股名を出身高校にちなんだ朝相洋と改めました。しかし、翌場所は怪我で途中休場となり幕下に陥落。その後、四股名を本名の大澤に戻し、再び勝ち越しを重ねて1994年5月場所に十両に復帰、この際に四股名を朝乃翔と改めました。

幕内での活躍と苦難

再十両の場所から負け越すことなく、1995年3月場所に新入幕を果たしました。1997年3月場所には自己最高位の西前頭2枚目に躍進し、横綱・曙から金星を挙げる活躍を見せました。しかし、惜しくも7勝8敗と負け越し、三役昇進は叶いませんでした。1999年9月場所も西前頭2枚目で三役昇進が期待されましたが、またも7勝8敗で負け越しとなりました。

幕内では安定した成績を残していましたが、2000年5月場所に右腕を故障し、翌7月場所に十両に陥落。幕内復帰を目指し稽古に励んでいましたが、名古屋場所直前に椎間板ヘルニアを発症し全休。その後、幕下まで番付を落としましたが、再び椎間板ヘルニアが再発し、三段目まで陥落しました。

引退とその後

引退も囁かれる中、土俵に上がり続けた朝乃翔は、三段目で6勝1敗と最後まで優勝を争う活躍を見せました。その後も勝ち越しを続け、幕下26枚目まで番付を戻しましたが、網膜剥離を発症し、2002年1月場所に現役を引退。準年寄・朝乃翔を襲名しました。

その後、年寄・若松、佐ノ山、関ノ戸、押尾川を経て、若藤親方として高砂部屋の部屋付き親方として後進の指導に当たりましたが、2008年に日本相撲協会を退職。2011年には、大阪の物流会社「間口」で相撲部監督として勤務していることが紹介されました。また、同社では総合営業職としても第二の人生を歩んでいます。さらに、2018年3月には日本相撲協会の評議員に就任しました。

人柄とエピソード

朝乃翔は極度の近視であり、コンタクトレンズを着用して本場所の土俵に上がっていました。また、1999年7月場所では、対戦相手に髷を引っ張られる場面がありましたが、決まり手とは見なされず、軍配通り負けとなりました。

主な成績

通算成績：332勝335敗53休 勝率.498
幕内成績：213勝248敗19休 勝率.462
現役在位：59場所
幕内在位：32場所
十両成績：53勝47敗20休 勝率.530
十両在位：8場所
三賞：なし
金星：1個（曙1個）

改名歴

大澤 一（おおさわ はじめ）：1992年3月場所-1993年1月場所
朝相洋 一（あさそうよう -）：1993年3月場所-1993年9月場所
大澤 一（おおさわ -）：1993年11月場所-1994年3月場所
朝乃翔 一（あさのしょう -）：1994年5月場所-1998年9月場所
朝乃翔 嚆矢（- はじめ）：1998年11月場所-2000年5月場所
朝乃翔 一（- はじめ）：2000年7月場所-2002年1月場所

年寄変遷

朝乃翔 一（あさのしょう はじめ）：2002年1月-2003年10月〔準年寄〕
若松 一 （わかまつ－）：2003年10月-2005年4月
佐ノ山 一（さのやま－）：2005年4月-2005年8月
関ノ戸 一（せきのと－）：2005年8月-2007年2月
押尾川 一（おしおがわ－）：2007年2月-2007年4月
押尾川 肇（おしおがわ－）：2007年4月-2007年8月
* 若藤 肇（わかふじ－）：2007年8月-2008年1月

年寄襲名について

朝乃翔は、複数の年寄名跡を借り受けていました。特に、若松の名跡は、他の親方との貸し借りや一時的な襲名を経て、朝乃翔が継承しました。その後も佐ノ山、関ノ戸と名跡を変え、最終的に若藤を名乗りましたが、2008年に日本相撲協会を退職しました。

まとめ

朝乃翔は、怪我に苦しみながらも幕内上位で活躍した力士でした。引退後は、相撲協会を離れ、実業家として第二の人生を歩みながらも、相撲界への貢献も続けています。その波乱万丈な相撲人生は、多くの人々に感動を与え、記憶に残る力士の一人と言えるでしょう。

もう一度検索