朝治武

朝治武

朝治武（あさじ たけし、1955年7月8日 - ）は、日本の歴史学者であり、近代部落史、特に水平運動史を専門としています。現在は大阪人権博物館の館長を務めています。

生い立ちと研究

兵庫県篠山市（現在の丹波篠山市）で生まれた朝治氏は、高校2年生の時に部落問題研究会に参加し、部落解放運動に関わるようになりました。大阪市立大学に進学後も部落問題研究会に所属し、マルクス・レーニン主義の立場から部落解放を追求しました。

大学卒業後は、大阪府内の地域部落史などの編纂に携わり、1982年から大阪人権歴史資料館（現在の大阪人権博物館）に学芸員として勤務しました。2001年には、『水平社の原像』（解放出版社）を出版し、その中で「部落民宣言」を行いました。この宣言は、部落問題に対する彼の深い関与と、水平運動史研究における重要な転換点を示すものとして注目されています。

著書

朝治武は、数多くの著書や共著を通じて、水平運動史や部落問題に関する研究成果を発表しています。主な著書には以下のようなものがあります。

『水平社の原像 部落・差別・解放・運動・組織・人間』解放出版社、2001年
『アジア・太平洋戦争と全国水平社』部落解放・人権研究所、2008年
『差別と反逆　平野小剣の生涯』筑摩書房、2013年
『全国水平社1922-1942：差別と解放の苦悩』 ちくま新書、2022年

これらの著書は、水平運動の歴史や理論、部落差別問題の現状について深く掘り下げたものであり、研究者や関心を持つ一般読者にとって貴重な資料となっています。

共編著

朝治武は、他の研究者との共同研究も積極的に行っており、以下の様な共編著があります。

『脱常識の部落問題』灘本昌久,畑中敏之共編　かもがわ出版　1998
『近代日本と水平社』秋定嘉和共編著　部落解放・人権研究所 2002
『「水平社伝説」からの解放』関口寛、黒川みどり、藤野豊共著　かもがわ出版　2002
『水平社宣言・解放歌』守安敏司,藤田正共著　解放出版社　2005
『もっと知りたい部落の歴史近現代20講』黒川みどり,吉村智博,渡辺俊雄共著　解放出版社　2009
『水平社宣言の熱と光』守安敏司共編　解放出版社　2012
* 『部落解放論の最前線 多角的な視点からの展開』寺木伸明,谷元昭信,友永健三共編著. 解放出版社, 2018

これらの共編著は、多角的な視点から部落問題や水平運動史を考察するものであり、研究の幅を広げる上で重要な役割を果たしています。


朝治武の研究は、日本の部落問題史研究において重要な位置を占めており、今後の研究活動にも期待が寄せられています。

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