友永健三

友永健三（ともなが けんぞう）

友永健三氏は1944年1月10日に生まれた、日本の著名な人権活動家です。現在は部落解放・人権研究所の名誉理事を務めており、半世紀以上にわたり、部落差別の撤廃をはじめとする人権確立社会の実現に献身的に尽力してきました。

来歴と活動

大阪市に生を受けた友永氏は、大阪市立大学文学部哲学科に進学しました。大学在学中の1967年2月、彼は部落解放運動に深い関心を寄せ、その活動に参加することを決意します。大学卒業後も、人権活動家としての道を歩み続けました。

彼は、部落解放運動の中心的な研究機関において重要な役割を歴任しました。1982年2月には部落解放研究所の理事に就任。その後、同組織が改編された部落解放・人権研究所においては、1993年4月に所長に就任するなど、長きにわたり研究および啓発活動のリーダーシップを発揮しました。

国内での活動に加え、国際的な場でも人権擁護を訴えました。反差別国際運動（IMADR）の事務局次長を務めるなど、国境を越えた差別撤廃の取り組みにも深く関与しました。また、教育分野にも携わり、大阪市立大学で非常勤講師を務めた経験もあります。

友永氏の活動は、部落差別の解消という喫緊の課題解決を目指すとともに、すべての人々が生まれながらにして持つ尊厳が守られ、平等に扱われる社会、すなわち人権確立社会の実現を追求するものでした。差別撤廃のための理論構築と実践的な運動を結びつけ、その知見を広めることに力を注ぎました。

主な著作

友永健三氏は、長年の研究と活動の成果を多くの著作として発表し、人権問題に関する啓発活動にも大きく貢献しました。彼の思想や運動の軌跡は、以下の主な単著や共編著に収められています。

単著

『平和・人権・平等への道』解放出版社, 1984.8
『部落解放と反差別国際連帯』解放出版社, 1987.7
『人権とは? 国際人権規約と日本』(人権ブックレット）部落解放研究所, 1989.10
『部落地名総鑑事件 その教訓と課題』(人権ブックレット）部落解放研究所, 1989.7
『水平社会をめざして 部落解放運動の新しい段階』部落解放研究所, 1992.9
『人権の21世紀へ 部落解放運動の挑戦』部落解放・人権研究所, 1998.9
『いま、改めて「部落地名総鑑」差別事件を問う』部落解放・人権研究所, 2006.7
『部落解放を考える 差別の現在と解放への探求』解放出版社, 2015.9

共編著

『グローバル時代の人権を展望する 日本と韓国の対話 衡平運動80周年記念国際学術会議から』金仲燮共編著, 高正子, 安聖民, 李嘉永 訳. 部落解放・人権研究所, 2004.3
『アジアの身分制と差別』沖浦和光,寺木伸明共編著. 部落解放・人権研究所, 2004.9
『これからの人権保障 高野眞澄先生退職記念』松本健男,横田耕一,江橋崇共編. 有信堂高文社, 2007.7
『部落史研究からの発信 第3巻(現代編)』渡辺俊雄共編著. 部落解放・人権研究所, 2009.7
* 『部落解放論の最前線 多角的な視点からの展開』朝治武,谷元昭信, 寺木伸明共編著. 解放出版社, 2018.12

これらの著作は、部落問題やその他の人権課題に対する深い洞察を示すものであり、その解決に向けた氏の強い意志と活動の軌跡をたどることができます。彼の著書は、研究者や運動関係者だけでなく、広く社会一般に対して人権問題への理解を深めるための貴重な資料となっています。

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