朝鮮の農業

朝鮮の農業

朝鮮半島における農業は、その地域によって異なる特性を持っています。北部では主に畑作が行われ、南部では多くの水田が存在します。興味深いことに、朝鮮語において「田」という漢字は日本語の「畑」を意味し、水田を指すためには独自に「畓」（タプ）という漢字が使用されます。これは、韓国における漢字の新製の例の一つです。稲作は、長い間、陸稲や水稲の直播栽培が主流であり、田植えが広く行われるようになったのは李氏朝鮮の後期に入ってからでした。

歴史

朝鮮の農業の起源は、紀元前3500年から紀元前2000年頃にさかのぼり、櫛目文土器時代中期には雑穀などの小規模栽培が始まったと言われています。無文土器時代には、南朝鮮で大規模な水田の開発が行われ、稲作も発展していきました。稲の伝来経路にはいくつかの説があり、北方から大陸を経由した、山東半島から中部へ伝わった、中国江南から南海岸に伝わったという3つの説があります。

土地制度に関しては、新羅時代には食邑や禄邑が存在が見られ、高麗時代には田柴科が制定され、その後は荘園が広がりました。李氏朝鮮の時代には、科田法や職田法が導入され、農業の制度が整備されていきました。税制も大同法や均役法といった制度により安定化が図られました。

高麗時代までの農業では、地力を維持するために休閑農法が一般的でしたが、李氏朝鮮では農業技術の進歩により、連作が普及しました。この連作地には、正田、続田、陳田という異なる呼称が付けられました。文禄・慶長の役の際には、日本からトウガラシやタバコが伝わり、また1764年には朝鮮通信使の一行が対馬からサツマイモを持ち帰り、これが朝鮮でも広く栽培されるようになりました。

農民たちは、李氏朝鮮後期の三政の混乱に苦しむこととなり、その結果として数多くの農民反乱が発生しました。1906年には韓国統監府が水原に農業試験場を設立し、その後、日本による土地制度の近代化が進められました。特に、産米増殖計画により水利施設の整備、品種改良、化学肥料の導入が進み、生産力が大幅に向上しました。

現況

現在、朝鮮半島は大きく分かれており、農業もそれぞれ異なる現状にあります。朝鮮民主主義人民共和国では、非科学的な主体農法が強調された結果、農業には深刻な影響が及び、時には飢餓問題も生じています。一方、大韓民国では農業協同組合が存在し、専業農家の割合が高く見られます。しかし、農村地域では兼業の機会が限られ、農家の高齢化や負債の増加といった問題も深刻です。国民一人当たりの米の消費量は1970年代から大きく減少しており、他方で韓国においては口蹄疫の流行も見られます。さらに、日本との間では無断栽培問題が発生し、農業の課題が遺る現状です。

このように、朝鮮の農業は長い歴史を持ちながら、地理的、社会的背景に強く影響されてきました.

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