朝鮮修文職

朝鮮修文職についての詳細

朝鮮修文職（ちょうせんしゅうぶんしょく）は、江戸時代における対馬藩（対馬国）の特定の役職で、主に李氏朝鮮との外交に関わる業務を担っていました。この役職は、江戸幕府の命により、対馬藩の以酊庵に派遣される禅僧たちにより運営されました。彼らは、外交文書の解読や作成、使節の応対、そして貿易活動の監視を行っていました。また、対馬ではこれらの役割を持つ禅僧たちを特に対州書役や朝鮮書契御用とも呼ばれていました。

背景

対馬藩は、戦国時代の終わり頃から李氏朝鮮との交渉を進めており、その必要に伴い、臨済宗に属する禅僧・景轍玄蘇が招かれました。景轍玄蘇は、慶長年間に対馬に以酊庵を設立し、その地で活動を行っていました。彼が亡くなった後、規伯玄方がその職を引き継ぎましたが、寛永12年（1635年）に発生した柳川一件の影響で配流され、以降、対馬藩は適任者を見つけることができずにいました。このような状況から、江戸幕府は京都五山の僧侶の中から、対馬へ派遣する僧侶を定期的に送り込むことになりました。これが朝鮮修文職の始まりです。

職務の内容

寛永12年に最初の朝鮮修文職として任ぜられたのは、玉峰光璘、棠蔭玄召、そして洞叔寿仙の3名でした。彼らは、交替で以酊庵に派遣され、対馬藩の対朝鮮外交をサポートしました。当初は五山碩学の中から選出されていましたが、寛文10年（1670年）以降は、五山碩学と同時に朝鮮修文職が任命される形となりました。これにより職務が重視され、将軍から直接任命を受けることで、江戸城に赴いて御礼を述べる役割も担うようになりました。朝鮮修文職は、その時代における対朝鮮外交の実務責任者としての立場を確立していったのです。

当番制度

朝鮮修文職は、通常、3名の禅僧から成る当番、加番、代番の体制で運営されていました。当番が実際の業務を行なう一方で、加番は通信使の来日に際して当番と共に接待や案内を行う役割がありました。また、代番は当番や加番にもし何らかの理由で不在が生じた際にその役割を代行しました。基本的には明暦元年（1655年）以降、当番は2年ごとに交替し、選出は五山碩学の評議によるものでした。ただし、高齢者や病気のために渡航が免除される場合もありました。

報酬と複数回の任命

朝鮮修文職の報酬は、通常の碩学料に加え、以酊庵滞在時に対馬藩から年間100石の現米が支給されていました。また、通信使が来日した際には臨時の手当も支給されました。戻った後には、居住する寺院の住職に任命される機会が増え、再度対馬渡航の任に就くこともありました。過去には、再任された者が31名、三度の任を受けた者が4名存在しました。

廃止

明治時代の幕末期、慶応3年（1867年）には、江戸幕府の外交体制の見直しが発表され、126代目の玉澗守俊が帰還を命じられ、その後、朝鮮修文職は廃止されることとなります。この役職は、江戸時代における日本と朝鮮の外交関係を特徴づける重要な存在でした。

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