規伯玄方

規伯玄方（きはくげんぼう）は、天正16年（1588年）に筑前国宗像郡に生まれ、寛文元年10月23日（1661年12月14日）に没した、江戸時代前期の臨済宗の僧侶です。無方規伯、または方長老とも呼ばれました。彼は、対馬藩において対朝鮮外交を担った景轍玄蘇の門人であり、その才能を受け継ぎました。

師である景轍玄蘇の跡を継ぎ、規伯玄方は対馬藩の朝鮮との外交交渉において重要な役割を果たしました。元和7年（1621年）と寛永6年（1629年）の2度にわたり、朝鮮への使者として派遣され、外交交渉に尽力しました。しかし、柳川一件と呼ばれる事件において、国書改竄の責任を問われることとなり、寛永12年（1635年）に盛岡藩へと配流されるという不遇を経験します。

盛岡へと配流された規伯玄方でしたが、その地で失意に暮れることなく、学問・文化の指導者として地域社会に貢献しました。彼は盛岡の人々から深く尊敬され、南部鉄器や黄精飴の創出など、盛岡の文化や産業の発展に大きく関わったとされています。また、盛岡藩では南部牛の飼育が盛んでしたが、規伯玄方は慶安3年（1650年）に藩主・南部重直に対し、牛乳の利用を積極的に奨めました。これは、江戸時代における牛乳の利用に関する非常に早い事例として、特筆に値します。

万治元年（1658年）に規伯玄方は赦免され、京都の南禅寺へと移りました。そして寛文元年（1661年）、南禅寺の末寺である大阪九昌院において生涯を閉じました。

規伯玄方は、外交僧としての顔を持つ一方で、配流先の盛岡において文化の発展に貢献し、日本の食文化史においても注目されるべき人物です。

関連事項：

* 以酊庵

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