木下俊泰

木下俊泰（きのした としやす）は、江戸時代中期に豊後国日出藩の第9代藩主を務めた人物です。寛延元年（1748年）、先代藩主であった兄・木下俊能（きのした としよし）の死去に伴い、家督を継承しました。官位は従五位下、大和守に叙任されています。

俊泰は藩主となる以前の幼名を千吉といい、内蔵助と名乗っていました。藩主就任後は、幕府における公家との交渉役を務めたとされています。当時の日出藩は、幕府からの度重なる使者の接待などで財政が逼迫しており、その運営は決して容易ではありませんでした。

木下家は豊臣秀吉の正室・高台院（北政所、ねね）の兄である木下家定を祖とする名門であり、日出藩木下家は家定の五男である延俊を初代とする家系です。俊泰は、その由緒ある家柄を受け継ぎ、藩政を担うこととなりました。

俊泰には実子がなかったため、後継者問題が浮上しました。実子の男子2人は早世していたため、同族である備中足守藩主・木下利忠（きのした としただ）の娘を養女とし、さらに宇都宮藩主・戸田忠余（とだ ただとも）の六男である俊胤（としつぐ）を婿養子に迎え、後継者としました。これにより、日出藩木下家の家督は無事に継承されることとなります。

明和5年（1768年）7月29日、俊泰は43歳という若さでこの世を去りました。法号は霊詳院。墓所は東京都港区高輪にある泉岳寺にあります。泉岳寺は、赤穂事件で有名な浅野家の菩提寺であり、多くの著名な人物が眠る場所として知られています。

俊泰の死後、家督は養子の俊胤が継承し、日出藩の藩政を担うこととなりました。俊胤は戸田家からの入嗣でしたが、木下家の家風を尊重し、藩政に尽力したと伝えられています。

系譜
実父: 木下俊量
実母: 黒川氏（側室）
養父: 木下俊能
正室: 土岐頼稔の娘
養子: 木下俊胤（戸田忠余の六男）
養女: 於久（木下俊胤正室、木下利忠の娘）

木下俊泰は、藩主としての在任期間は短かったものの、公家との交渉役を務め、後継者を定めるなど、日出藩の維持に貢献しました。その功績は、今日においても語り継がれています。

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