木下康司

木下康司（きのした やすし）

日本の財務官僚。第10代財務事務次官。1957年3月28日生まれ、新潟県新潟市出身。

経歴

新潟県立新潟高等学校を経て東京大学法学部を卒業。1979年に大蔵省（現財務省）に入省。主計局総務課企画係を振り出しに、主計局主計官、大臣官房総合政策課長、大臣官房文書課長、大臣官房総括審議官などを歴任しました。2011年には国際局長に就任。

2012年には主計局長に昇進しましたが、これは当時の財務省において、官房長から主計局長に昇格するという慣例を破るものでした。2013年には事務次官に昇格。国際局長経験者が事務次官に就任したのは、旧大蔵省時代を含めても戦後2人目という異例の人事でした。

2014年に財務省を退官。その後、コロンビア大学客員研究員を経て、2015年に日本政策投資銀行代表取締役副社長に就任。2018年からは同社代表取締役会長を務めています。

財務官僚としての活動

財務省では、主に主計畑を歩み、予算編成に深く関わってきました。特に、財政再建の必要性を強く主張し、消費税増税の必要性を訴えたことで知られています。

2013年に事務次官に就任してからは、各種メディアを通じて消費税増税の必要性を訴え、当時の安倍内閣が消費税増税を見送る可能性を示唆した際には、その方針に反対の立場を表明しました。

また、地方の財政状況には厳しい姿勢を示し、国による地方への財政支援には消極的でした。

人物像

課長補佐時代には、バブル景気崩壊後の経済状況の変化を目の当たりにし、大きな流れを見極めることの重要性を痛感したと述べています。

財政政策においては、「日本の財政状況はギリシャより遥かに悪い」という認識を持ち、財政再建のために消費税の増税が必要であると主張しました。

主な役職

1979年：大蔵省（現財務省）入省
1999年：主計局主計官（運輸、郵政担当）
2004年：財務省大臣官房総合政策課長
2011年：財務省国際局長
2012年：財務省主計局長
2013年：財務省事務次官
2015年：日本政策投資銀行代表取締役副社長
2018年：日本政策投資銀行代表取締役会長
2023年：日本取引所グループ取締役兼取締役会議長

その他

著作に『図説日本の財政（平成17年度版）』、『図説日本の財政（平成18年度版）』などがあります。
入省同期には、田中一穂（日本政策金融公庫総裁）、香川俊介（財務事務次官）、古澤満宏（IMF副専務理事）などがいます。

参考文献

長谷川幸洋『経済危機の読み方』講談社、2001年
長谷川幸洋『2020年新聞は生き残れるか』講談社、2013年
森信茂樹、木下康司「消費税10%を前提に努力すれば、中期財政計画の目標達成は十分可能」『時評』2013年11月号
毎日新聞社「課長補佐時代 財務省国際局長 木下康司(54)」『毎日フォーラム』2011年12月号
講談社「全国民必読 安倍を操る「財務省7人のワル」をご存じか:消費税増税のウラで高笑い」『週刊現代』2014年4月26日号

関連人物

田中一穂
香川俊介
古澤満宏
長谷川幸洋
* 森信茂樹

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