木下謙次郎

木下 謙次郎の生涯と業績

木下 謙次郎（きのした けんじろう）は、1869年に大分県宇佐郡に生まれた日本の政治家であり、著名な美食家でもある。彼の人生は明治から昭和にかけての激動の時代を背景に展開し、政治の最前線で様々な役割を果たした。

初期の経歴

木下は東京法学院を卒業し、1892年から政治家としてのキャリアをスタートさせた。彼は貴族院議員や衆議院議員に9回当選し、その中で国民党、立憲同志会、憲政会、立憲政友会、政友本党など、さまざまな政党に所属した。そのため、彼は「政界の策士」とも称されることがあった。彼の政治活動は非常に活発で、多くの人々に影響を与えた。

政治家としての活動

木下はその政治的活動の中で選挙違反事件に連座したこともあったが、1927年には大喪の礼に伴う恩赦を得て赦免された。同年12月に関東庁の関東長官に任命され、1929年までその職に就いていた。彼はこの期間に、関東州の民政を担い、地域の発展に幾分寄与したと考えられている。その後、1946年には貴族院の勅選議員に任じられ、交友倶楽部に所属して亡くなるまで在任していた。

美食家としての側面

政治家としての顔だけでなく、木下は美食家としても知られている。1925年に、彼は著書『美味求真』を出版した。この書籍は日本初の食をテーマにした随筆集とされ、美食に対する深い理解と情熱が込められている。出版からわずか数ヶ月で50版を重ねるベストセラーとなり、木下の名声を一層高めた。さらに、彼は続編として『続美味求真』、『続々美味求真』を刊行し、美食文化における影響力を発揮した。

知人たちの評価

彼の作品『美味求真』に対しては北里柴三郎が序文を寄せ、木下が政界に身を投じたことが一大損失であるという見解を示している。公式には木下は政界に続く長いキャリアを経て、1947年に78歳でその生涯を閉じた。彼の墓所は港区南青山の玉窓寺にあり、そこには「木下氏之墓」と刻まれている。

家族との関係

木下の家族にも政治家が多く、甥にあたる木下郁は元衆議院議員、元大分県知事である。また、弟の孫である木下敬之助も元大分市長であり、衆議院議員として活躍した経歴がある。

栄典

木下は1937年に従四位に叙位され、1915年には大礼記念章を受けている。政治家としての業績に加え、美食家としての影響力も持ち合わせた彼の人生は、多くの人々にとって記憶に残るものである。

その多彩な経歴は、政治と文化、芸術の交差する地点での重層的な意味を示しており、木下 謙次郎は今もなお日本の食文化と政治史の重要な一部として人々に語り継がれている。

もう一度検索