木内ギャラリー

木内ギャラリー

木内ギャラリーは、千葉県市川市にある文化活動施設です。この施設は、実業家であった木内重四郎の旧別邸を復元したもので、洋館と和館が並立する独特の建築様式が特徴です。かつての邸宅は、木内重四郎が自ら監修し、1914年（大正3年）に竣工しました。

歴史

木内重四郎は、幼少期に現在の千葉県芝山町と東京を往復する中で、国府台の景観に魅了され、「いつかこの地に邸宅を構えたい」という夢を抱きました。実業家として成功を収めた後、その思いを実現させるべく、広大な土地を購入し、邸宅の建設に着手しました。

1912年（明治45年）から1914年（大正3年）にかけて建設された邸宅は、和洋折衷の様式を取り入れ、木内重四郎自身が造園に至るまで監修しました。第二次世界大戦中には、歌人の斎藤茂吉が画家・平福百穂の長男である平福一郎とともに訪れたことが記録されています。

第二次世界大戦後は、鹿島建設の市川寮として使用されていましたが、1999年（平成11年）に土地取得の問題から取り壊されてしまいました。しかし、2004年（平成16年）に不動産会社のサンウッドが、保存状態が比較的良好であった洋館部分を、元の部材を活かしながら現在地に移築・復元しました。

建物

竣工当初、邸宅は一万坪を超える広大な敷地に建てられていました。和館部分は住宅作家の保岡勝也が、洋館部分は鹿島貞房が設計し、大工棟梁は島崎清太郎が務めました。塔屋の屋根裏には棟札が残されており、そこには「明治四十五年六月起工、大正三年七月竣工」という文字と、建設に携わった職人たちの名前が記されています。

建物は木造2階建てで、和館は中庭を囲むロの字型、洋館は南北に伸びる一文字型で、玄関、応接間、書斎、ベランダで構成されていました。洋館の玄関部分の上には3階建ての塔屋が設けられており、外壁はレンガを基礎としたドイツ壁仕上げ、屋根はスレート瓦葺きという、コテージ風のデザインが採用されています。

内部は、当時流行していたセセッション様式のデザインが取り入れられています。塔屋部分には鉄骨材が使用され、須賀商会による上水道整備や水洗式衛生陶器の導入、立ち台所、吊り戸棚など、当時の最先端技術が用いられました。

高さ約12メートルの塔屋は、京成線からも見ることができ、『京成電車沿線案内』の「市川鴻野臺（国府台）」の項にも記載されています。木内重四郎の次女・登喜子の夫である渋沢敬三の長男・渋沢雅英は、「木内邸は江戸川の流れを見下ろし、広い庭は芝で覆われ、市川の町からの車寄せに至る道はうっそうたる森であり、丘の下には広い農場もあった」と回想しています。また、玄関を入った突き当たりの壁にはモーリス・ドニの大作が、庭に面したラウンジには石川寅治による壁画が飾られていたといいます。

文化活動施設（ギャラリー）

2004年に建物は市川市に寄付され、寄贈者の意向により、当時の建築様式を公開し、文化活動施設として一般開放されました。ギャラリー機能を持つ施設として運営されており、展覧会や演奏会などが開催されています。公式サイトでは、館内の写真が公開されています。

2023年（令和5年）現在は、公益財団法人市川市文化振興財団が指定管理者として運営しています。

アクセス

JR市川駅北口よりバスに乗車し、「真間山下」で下車、徒歩5分です。

脚注

木内ギャラリー公式サイト
市川市文化振興財団

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