木工寮

木工寮について

木工寮（もくりょう）は、古代日本の律令制において宮内省に属した重要な機関で、和名ではコダクミノツカサと呼ばれています。この機関は、主に建物の建設や修理、さらには木製品の製作に関連する業務を管理・実施する役割を持っていました。

主な職掌

古代ヤマト王権の時代、造営事業には特定の氏族が関与していましたが、仏教文化の影響が強くなるにつれ、寺院建築のための専門的な技術が求められるようになりました。このため、従来の部民制では対応できなくなり、百済や中国から新たに建筑技術を持つ人々が登用されるなど、流動的な状況が生じました。

木工寮は、天皇のために必要な建築や土木工事、木器製作に加えて、これらの事業の監督を行う機関として機能しました。具体的には、宮殿の新築・修理、京内の公共施設の維持管理、そして木製品の製作に至るまで、多岐にわたりました。また、労働力や資材調達、予算の設定なども木工寮の業務に含まれていました。

このような多忙な業務に対し、多くの工員と力役者が従事していましたが、業務の複雑さから遅れが生じることもしばしばありました。結果として、弘仁9年（818年）には、宮殿関連の業務が新設された修理職に移管され、土木事業は新たに設立された修理坊城使に分配されるなど、業務の再編が行われました。

京の造営時の役割

新たに京を造成する際は、いくつかの専門的機関がそれぞれの役割を担っていました。京の造成自体は造京司が担当し、宮殿の建築は造宮職が行い、寺院建築は各造寺司が管轄していました。一方で、木工寮は官庁庁舎の建設において指導的な役割を果たしました。これは、造宮省や造東大寺司が奈良時代の間に設けられていたことと関連しています。

木工寮においては、工事を主任する伴部の工部は世襲ではなく、能力に応じて任命される仕組みでした。また、主に飛騨国から徴発される匠丁が従事していたのも特徴的です。大同3年（808年）には、鍛冶司が木工寮に併合されましたが、これらは最終的には消滅しました。

木工寮の職員

木工寮の職員は、各種の役職に分かれています。中でも頭（従五位上）、助（正六位下）、大允（正七位下）、少允（従七位上）などの主要な役職があり、工事に関連する多様な職掌が存在しました。具体的には、算師による計算業務、主任の伴部とされる工部、指揮者としての大工や少工の位置づけなどがあります。その他には、飛騨工、そして新設された職務である寮掌や使部なども関与していました。

このように、木工寮は古代日本における建築と土木工事の中心的な機関として機能し、多様な人材と資源を駆使して日本の古代造営事業を支えていました。

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