木村三郎 (美術史家)

木村 三郎

木村 三郎（きむら さぶろう）は、1948年に生まれた日本の美術史家です。長年にわたり、近世西洋美術史の研究に深く携わり、特に17世紀フランス絵画の分野で顕著な業績を上げています。日本大学芸術学部で教授を務めた後、現在は金沢美術工芸大学の客員教授として活動しています。

経歴

東京都に生まれた木村三郎は、学問の道に進み、東京大学文学部でフランス文学を修めました。その後、美術史への関心を深め、同大学院の美術史専攻前期課程に進学し、専門的な学びを深めました。さらなる研究のため、フランス政府給費留学生としてパリへの留学を果たしました。パリ第4大学（ソルボンヌ大学）の博士課程において精力的に研究に取り組み、1981年に文学博士号を取得しました。

帰国後、1991年には放送大学の助教授として教員としてのキャリアをスタートさせました。翌1992年には日本大学芸術学部に教授として迎えられ、以後長きにわたり、美術史の研究教育に尽力しました。大学での教職を務める傍ら、国際的な学術交流も積極的に行い、1995年4月から9月にかけては、フランスが誇る研究機関であるコレージュ・ド・フランスに招聘客員研究員として招かれました。また、1999年9月から2000年3月にかけては、アメリカ合衆国のイリノイ大学で交換教授を務めるなど、グローバルな視野を持って研究活動を展開しました。

2018年に日本大学を定年退職した後も、研究者としての歩みを止めることなく、現在は日本大学の研究員として若手研究者の育成に関わるとともに、金沢美術工芸大学の客員教授として教壇に立ち、その豊富な知識と経験を伝えています。

研究分野と業績

木村三郎の研究は、近世西洋美術史、とりわけ17世紀フランス絵画に焦点を当てています。特に、フランス古典主義絵画の巨匠であるニコラ・プッサンの研究においては、重要な成果を数多く発表しています。深い文献読解と図像解釈に基づいたその研究は、国内外の学会から高く評価されています。

公的な活動

研究教育活動に加え、美術界の発展に貢献するため、様々な公的な役職も歴任しました。国立西洋美術館における美術作品購入選考委員として、重要な作品の収蔵に関わる判断に携わりました。また、静岡県立美術館においては、美術品の選定に関わる臨時委員を務めるなど、専門家としての知見を活かし、日本の美術館活動を支える役割も果たしました。

主な著書

長年の研究成果は、数々の著作として発表されています。主要な著書には以下のものがあります。

『名画を読み解くアトリビュート』（淡交社、2002年）
『旅の書物／旅する書物』（慶應義塾大学出版会、2015年）
* 『フランス近代の図像学』（中央公論美術出版、2018年）

これらの著書を通じて、専門家だけでなく、広く一般の人々にも美術史の魅力を伝えています。

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