木村正直 (4代)

4代木村正直の生涯と功績

4代木村正直（よんだい きむらまさなお）は、1953年8月3日に岐阜県多治見市で生まれ、2013年1月29日に59歳でこの世を去った元三役格行司です。彼は朝日山部屋に所属し、名実ともに大相撲界で名を馳せる存在となりました。木村正直の本名は山内幸久（やまうち ゆきひさ）で、相撲の世界に入るきっかけは、先代の木村正直（後に24代式守伊之助）への入門でした。

キャリアの始まりと成長

1969年5月、彼は「木村幸久」の名で初土俵を踏みました。その後、1971年7月に2代目木村正義に改名します。1984年1月に幕下格で4代木村正直を襲名し、相撲界での道を歩み続けました。

彼の上昇は目覚ましく、1990年1月には十両格、2003年1月には幕内格、そして2008年9月には三役格を務めるに至りました。このように、順調にキャリアを重ね、行司としての地位を確立していったのです。

印象的な声と所作

木村正直は、その甲高くややしゃがれた声が特徴で、豊かな声量が印象に残ります。その所作は、師匠のものよりも派手で、賛否が分かれることもありましたが、観客の記憶に強く刻まれるものでした。ただ、年齢が進むにつれて微妙な一番での差し違いが増えていったことも、彼のキャリアの課題でした。

健康の問題と休場

彼の相撲人生は決して平坦ではなく、2009年5月には右下腿部挫傷を負い、休場を余儀なくされました。また、肝細胞がんの治療もあり、2010年9月から2011年1月にかけて３場所を休場しました。さらに、2012年11月にはがんが再発し、入院治療の必要がありました。2013年1月場所も初日から休場し、そのまま療養を続けましたが、最終的にはその年の1月29日に命を落としました。

最後の土俵と遺されたもの

彼の最後の取組は、2012年11月場所の9日目に行われた大関琴奨菊と前頭2枚目松鳳山の戦いでした。次の取組での勝ち名乗りが、彼の行司としての最後となりました。木村正直は、幕内格以上の行司の中で定年前に亡くなったのは、1988年の15代木村玉光以来の出来事でした。

生前、木村正直は相撲界だけでなく、朝日山部屋の伝統を大切にし、私財を投じて歴代行司の墓石をまとめるなど、行司としての誇りを持って活動していました。

また、現在彼の妻は江戸川区に「木村正直の家」と称する資料館を開館しており、その業績や生涯を後世に伝える努力を続けています。彼の功績は、今でも多くのファンに思い出され、愛されています。

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