木田高介

木田高介：夭折した天才マルチプレイヤーの軌跡

1949年生まれの音楽家、木田高介。本名は桂重高。彼は鍵盤、弦、管、打楽器と、類まれな演奏技術を持つマルチプレイヤーであり、多くのヒット曲を手がけた敏腕編曲家でもありました。

新潟県出身の木田は、東京藝術大学音楽学部打楽器科在学中に、人気バンド「ジャックス」に参加。ドラム、サックス、フルート、ヴィブラフォンを担当し、独自の音楽性を発揮しました。ジャックス解散後は、六文銭を経て、CBSソニー、東芝EMIを中心に、編曲家として活躍。かぐや姫の「神田川」、りりィの「私は泣いています」など、数々の名曲を世に送り出しました。そのアレンジは、初期にはヴィブラフォンをフィーチャーした幻想的なサウンドが特徴でしたが、後にリリカルなオーケストレーションへと進化を遂げます。特に、りりィのデビューアルバムでは、プロデュース、アレンジ、バックバンドのドラムスと、ほぼ全ての業務を一人で担っていました。

映画音楽にも携わり、『戦争を知らない子供たち』、『妹』などの作品に楽曲を提供。また、テレビドラマ「白い滑走路」「こんな男でよかったら」の音楽も担当しています。

1975年には、高石ともや率いる「ザ・ナターシャー・セブン」に参加。ベース、パーカッション、ピアノなどを演奏し、それまでの活動とは異なるブルーグラスやマウンテンミュージックの世界へと進出します。ザ・ナターシャー・セブンでは、メンバーと派生ユニット「自切俳人」や「ヒューマンズー」でも活動し、「マイ・ソング」では意図的に音をはずしたアレンジで聴衆を沸かせました。

ザ・ナターシャー・セブン脱退後、ソロ活動を再開し、フュージョン色の強いリーダーアルバムを発表するなど、更なる音楽的挑戦を始めた矢先、1980年、31歳の若さで交通事故により急逝。同乗していたスタッフも亡くなりました。

彼の死を悼み、1980年6月29日には日比谷野外音楽堂で追悼コンサートが開催され、オフコース、かぐや姫、吉田拓郎など、多くの著名ミュージシャンが参加。1万人を超えるファンが、雨の中、彼の音楽を偲びました。

木田高介の死は日本の音楽シーンに大きな衝撃を与えました。彼の才能は、多くのアーティストに影響を与え続け、現在も語り継がれています。彼の楽曲やアレンジは、日本の音楽史に重要な足跡を残しました。

木田高介の音楽的貢献

木田高介は、多様な楽器を自在に操る卓越した演奏家であり、時代を彩った多くのヒット曲に彩りを添えた才能ある編曲家でした。彼の音楽活動は、以下のように要約できます。

多様な楽器演奏: ドラム、サックス、フルート、ヴィブラフォンなど、多種多様な楽器を演奏し、その幅広い音楽性を生かした楽曲制作を行いました。
独自の編曲スタイル: 初期の幻想的なサウンドから、後期のオーケストレーションへと変化を遂げた、独自性と深みのある編曲スタイルは、多くのアーティストに影響を与えました。
多様なジャンルへの挑戦: ジャックスでのロック、りりィのプロデュースでのポップス、ザ・ナターシャー・セブンでのブルーグラスなど、多くのジャンルに挑戦し、常に新しい音楽的可能性を探求しました。
数々のヒット曲への貢献: かぐや姫「神田川」、りりィ「私は泣いています」など、日本の音楽史に残る数々のヒット曲のアレンジを手掛けました。
* 映画音楽、テレビ音楽への貢献: 映画『妹』やテレビドラマ「白い滑走路」「こんな男でよかったら」などの音楽を担当し、幅広い活動を行いました。

木田高介の音楽は、彼の才能と情熱が凝縮された、独特の輝きを放っています。彼の死は惜しまれますが、彼の残した音楽は、これからも多くの人の心に響き続けるでしょう。

エピソード

木田高介の葬儀に参列した五輪真弓は、彼の妻の悲しみに触れ、代表作「恋人よ」を作曲しました。また、映画『妹』の音楽制作では、木田が失踪したため、急遽松任谷正隆が制作を引き継ぎました。

関係者

木田高介の活動には多くのミュージシャンが関わっていました。高石ともや、坂庭省悟、城田じゅんじ、早川義夫、吉田拓郎、かぐや姫、イルカ、沢田聖子、ジャックス、五つの赤い風船、フォーリーブス、バンバン、りりィ、北山修、杉田二郎など、錚々たるメンバーが名を連ねています。

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