木賀家

木賀氏の歴史と文化

木賀氏（きがし）は、藤原氏を本姓とする武士の一族で、重要な歴史的背景を持つ家系です。その家祖とされる木賀（藤原）伊綱（これつな）の官位として記録に残されているのは、従四位下のみに留まっています。

木賀氏は、時代が進むにつれ本拠を伊豆国へと移し、木賀善司吉成（きがぜんじよしなり）の代には、源頼朝の要請を受けて治承・寿永の乱に介入しました。頼朝が幕府を設立した後、吉成は石橋山の戦いで負傷し、相模国箱根の娘を妻として娶り、地名を木賀に定めて地頭に任じられました。この際、彼は薬師堂を建立し、妻を白狐として祀る白狐稲荷を設けています。江戸時代に編纂された『箱根七湯』の記述によれば、老僧に姿を変えた薬師如来に導かれたとされ、木賀善司吉成の名は「源頼朝公お身内に木賀善司吉成という者ありけり」と称賛されています。

その後、木賀氏は室町幕府の初代足利尊氏の時代からも御家人として地頭職を務めます。南朝時代には、箱根の底倉・木賀周辺が負傷兵の湯治場として利用され、南北朝の対立時期にあっても、そこにいる者の争いは禁じられていました。木賀彦六左衛門尉入道秀澄が新田相模守入道行啓を匿った際、彼が討ち取られるという事件も起こります。

時代が進むと、木賀氏は長尾氏に縁があり、長尾景虎の呼びかけに応じて本拠地を越後国旧豊葦村（現在の新潟県妙高市）に移しました。ここでは信濃国へ通じる塩の道を守る任に就き、通行人を監視しました。現在でも「馬返しの岩」として知られる遺構が残されています。

旧豊葦村に本拠を置いた木賀家は、平成時代まではその地に留まりましたが、最後のまとめ役であった木賀昭蔵の死を境に、次第に本拠地には人が住まなくなりました。2022年の時点で木賀姓を名乗る人は約830人おり、その多くは上樽本の木賀氏の子孫です。彼らのルーツを探ると、信宗寺に残る木賀の墓に辿り着きます。

木賀氏の文化

木賀氏は本拠地を移動する際に多くの家族が一緒に移り住む傾向があり、同じ木賀姓の者同士で婚姻を結ぶことが多かったです。越後国に移った後も、周辺とほとんど交流をもたず、独自の文化を育むことに専念していました。彼らの歴史は、武士の誇りや地域社会との関り、家系の維持という視点からも注目に値します。木賀氏の歴史は、ただの武士の足跡にとどまらず、地域の文化や伝承に深く影響を与えています。

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