木食

木食（もくじき）とは

木食とは、仏教の修行における厳しい戒律の一つで、穀物を断ち、火を通して調理した食物や肉食を避け、木の実や草など、自然のままの植物のみを食する修行を指します。この修行を行う僧侶は「木食上人」とも呼ばれ、その禁欲的な生活は、仏道への強い決意を示すものとされてきました。

木食の歴史と意義

木食の起源は古く、仏教の戒律における厳しい食生活の規定に由来すると考えられています。この修行は、単に食を制限するだけでなく、欲望を抑制し、精神的な清浄さを追求することを目的としていました。木食を行うことで、僧侶は自己の内面と向き合い、より深い悟りを目指したのです。

木食を実践した著名な僧侶たち

歴史上、多くの僧侶が木食の修行を行い、その名を残しています。以下に、その一部を紹介します。

行勝（ぎょうしょう）：平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した僧侶。
木食応其（もくじきおうご）：戦国時代から江戸時代初期にかけての僧侶。
弾誓（たんぜい）：木食の開祖とされる僧侶。戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍しました。
快元（かいげん）：江戸時代初期の僧侶で、大峯山寺の再興に尽力しました。
円空（えんくう）：江戸時代前期の僧侶で、全国に残る円空仏で知られています。
木食恵昌（もくじきえしょう）：詳細な記録は少ないですが、木食の修行を行った僧侶の一人です。
木食養阿（もくじきようあ）：江戸時代中期に活動した僧侶。
木食明満（もくじきみょうまん）：江戸時代中期から後期にかけての僧侶で、造仏聖として知られています。木喰、行道とも呼ばれました。
木食白道（もくじきびゃくどう）：木食明満の弟子で、同じく造仏聖として知られています。木食白導とも呼ばれました。
徳本（とくほん）：江戸時代後期の僧侶で、念仏聖として知られています。

これらの僧侶たちは、木食という厳しい修行を通じて、自己を鍛錬し、仏道に精進しました。彼らの生き方は、後世の人々に大きな影響を与え、今もなお、多くの人々に尊敬されています。

関連事項

即身仏：厳しい修行の末、生きたまま仏となることを目指した僧侶の遺体。木食の修行と関連付けられることがあります。
キシロファージ：木材を食べる動物の総称。木食とは異なる概念ですが、木を食するという点で関連性があります。
* 食木症：精神疾患の一種で、木を食べる行為を指します。

木食は、単なる食の制限ではなく、精神的な鍛錬を目的とした厳しい修行です。この修行を通じて、多くの僧侶が自己を深く見つめ、仏道に邁進しました。彼らの足跡は、今もなお、多くの人々に感銘を与え続けています。

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