末広町 (高松市)

末広町

末広町（すえひろちょう）は、香川県高松市の中央部に位置する町丁です。郵便番号は760-0060で、住居表示に関する法律に基づく住居表示は実施されていません。

地理

高松市の中心市街地に属し、高松市役所からは約1.0km圏内に位置しています。町域は東側を杣場川、南側を市道二番町築地線（美術館通りの延長部分にあたる）、北側を井口町との境となる市道片原町沖松島線、そして西側を通町および塩屋町の県道160号高松港栗林公園線に面した建物の裏手側にあたる線によって囲まれた、おおむね正方形の形をしています。町域の大部分は、かつて存在した新塩屋町小学校の跡地が占めています。主要な通りである市道東浜港多賀線沿いには、事務所や工場、比較的高層のマンションなどが立地していますが、それ以外の区域は基本的に静かな住宅地として利用されています。町内に鉄道駅は設けられていませんが、北西方面には高松琴平電気鉄道（ことでん）琴平線の片原町駅、南東方面には同じくことでん長尾線の今橋駅があり、徒歩でのアクセスが可能です。

統計

2010年（平成22年）の国勢調査によると、町内の人口は310人（男性153人、女性157人）、世帯数は167世帯でした。面積は3万6736.64平方メートルで、これに基づく人口密度は約8438.4人/km2となります。公立の小学校および中学校の校区は、町域の全てが高松第一小学校・中学校（小中一貫校）に指定されています。

都市計画

都市計画法に基づく町内の用途地域は、市道東浜楠上町線より東側のうち、市道末広町錦町線より南側のエリアが近隣商業地域に指定されており、容積率は300%、建ぺい率は80%が上限となっています。その他のエリアは商業地域に指定されており、容積率は400%、建ぺい率は80%が上限です。

歴史

現在の末広町の区域は、もともと北半分が新通町、南半分が新塩屋町という、それぞれ独立した両側町として存在していました。戦後、町のさらなる発展を願う「末広がり」に通じる瑞祥地名として、新たに末広町が設けられることになります。

新通町と新塩屋町は、江戸時代には高松城の城下町の一部でした。それぞれの町名は、近くの通町二丁目および塩屋町一丁目から新たに伸びて形成された道筋に沿って成立したことに由来します。生駒氏時代の寛永年間の古地図には、現在の新通町や井口町の辺りに「塩やき町」の記述が見られますが、新塩屋町にあたる位置にはまだ町が形成されていませんでした。また、高松屏風絵図には、新塩屋町の位置に杣場川が描かれています。その後、元文5年（1740年頃）の城下絵図には単に「新塩屋」と記され、宝暦2年（1752年頃）には新通町と新塩屋町が正式に高松城下の一町として確立されました。

明治時代に入り、1882年（明治15年）には古馬場町で開校した私塾「葆真学舎」が新通町へ移転し、倫理や数学、習字などが教えられました。1890年（明治23年）には高松市が市制を施行し、新通町と新塩屋町はその一部となりました。1892年（明治25年）には新塩屋町の本通り筋が改修されています。大正から昭和にかけての工業化の進展に伴い、この地域にも多くの企業や工場が立地しました。これにより、杣場川の今橋付近では、小型船が頻繁に出入りし、岸辺で荷物の揚げ降ろしが行われる光景が見られるようになりました。しかし、1930年（昭和5年）に川の左岸が埋め立てられたことで川幅が狭まり、船の航行は大幅に制限されることになります。この埋め立て地は新通町、新塩屋町、築地町にそれぞれ編入されました。

1945年（昭和20年）7月4日未明、高松市はアメリカ軍による無差別絨毯爆撃「高松空襲」により壊滅的な被害を受け、町域の建物も全て焼失しました。戦災からの復興のため、高松市中心部では大規模な土地区画整理事業が施行され、新通町と新塩屋町もその対象となり、多くの街路が拡幅・改良されました。この区画整理事業の換地処分公告は1964年（昭和39年）1月25日に行われています。町名としての末広町は、まず1958年（昭和33年）に新通町の一部を置き換える形で新設され、その後1964年（昭和39年）に新通町の残りの区域、新塩屋町の大部分、さらに近接する築地町や塩屋町の各一部を編入して現在の町域が確定しました。

教育施設としては、1948年（昭和23年）4月に空襲で全壊した鶴屋町小学校が町内に移転し、新塩屋町小学校と改称して開校しました。同校はその後敷地を拡大し、町域の広い範囲を占めるに至りましたが、少子化などの影響により2010年（平成21年）3月31日に閉校し、市立築地小学校および市立松島小学校と共に、松島小学校跡に新設された市立高松第一小学校へ統合されました。かつての町名である新塩屋町の名前は、長らくこの小学校名に残されていました。

また、当町の東側を流れる杣場川は、高松五街道の一つである旧志度街道の一部と関連があります。旧志度街道は、内町の常磐橋（現在の丸亀町ドーム付近）を起点とし、片原町を東へ進んだ後、通町で旧長尾街道と分かれ、さらに東進します。新橋西交差点で南へ折れ、当町に入り、今橋で市道東浜港多賀線から離れて南東へ進み、千代橋で御坊川を渡り東進します。詰田川の手前で一旦南進した後、現在の志度街道（県道155号牟礼中新線、旧国道11号）と合流して志度方面へ至る経路をたどっていました。1990年（平成2年）3月31日には、暗渠化された杣場川の上部に市立公園である杣場川緑道が整備され、憩いの空間となっています。

主要施設

• - 労住協第22ビル 末広町マンション
• - 高松市杣場川緑道
• - 高松市立新塩屋町小学校（閉校）
• - 高松市総合教育センター

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