本光寺 (愛知県幸田町)

本光寺：深溝松平家の歴史と美しい紫陽花

本光寺は、愛知県額田郡幸田町深溝に位置する曹洞宗の寺院です。瑞雲山を山号とし、釈迦如来像を本尊として祀っています。古くから深溝松平家の菩提寺として、また、境内には約1万株の紫陽花が咲き誇ることから「あじさい寺」として親しまれてきました。

深溝松平家と本光寺の深い繋がり

本光寺は、大永3年（1523年）、深溝松平家の初代当主・松平忠定によって開基されました。開山は希聲英音和尚と伝えられていますが、禅宗における勧請開山の形式で、実質的な開山は2代目の華宗英香とされています。深溝松平家が肥前国島原藩へ転封した後も、歴代藩主の遺体は本光寺に運ばれ、埋葬されました。この深溝松平家墓所は、2014年に国の史跡に指定されており、本光寺の重要な歴史的価値を物語っています。

国の史跡：深溝松平家墓所

墓所は西廟所と東廟所に分かれています。西廟所には初代から5代、そして11代当主の墓が、東廟所には6代から10代、12代から19代当主と6代正室の霊廟が安置されています。西廟所には、5代松平忠利の廟である「肖影堂」や、夭逝した松平好房の「孝子廟」、そして寛文12年（1672年）建立の「願掛け亀」など、見所が満載です。願掛け亀は、賽銭を首の窪みに投げ入れ、入れば願いが叶うと伝えられています。東廟所は、島原藩転封後の当主の墓所となっており、拝観料として100円が募金箱に納められます。

歴史と文化が息づく境内

本光寺の境内は、歴史的建造物や自然の美しさで溢れています。参道は石畳となっており、三河地震で倒れた石垣や墓石が敷かれています。両脇には紫陽花が植えられ、6月には「紫陽花まつり」が開催され、多くの観光客でにぎわいます。山門は朱色に塗られ、「瑞雲山」の看板が掲げられています。屋根瓦が逆向きに葺かれているのは、火災防止のおまじないといわれています。廟所では敷石の向きが揃えられており、臣下を表していると考えられています。また、廟所本体は神道形式で造られ、京都の吉田神社の吉田神道の思想に基づく「神殿型墓石」を採用している点も注目に値します。1945年の三河地震により、土塀や石垣の一部は崩れていますが、それでも歴史の重みを感じさせる景観を保っています。

貴重な出土品と文化財

2009年、平成20年8月末豪雨で被害を受けた7代松平忠雄の墓の修復に伴う発掘調査では、西洋製のグラスや慶長小判など、近世大名家の埋葬を知る上で貴重な副葬品が多数発見されました。本光寺には、国指定史跡である深溝松平家墓所の他に、幸田町指定文化財として、4代家忠・5代忠利・忠一の肖像画三幅、土佐派による「京洛諸国名所図（日暮屏風）」、寛永6年鋳造の梵鐘（家康・家光の名が記されている）、春日曼荼羅図などが保存されています。これらの文化財は、本光寺の豊かな歴史と文化を物語っています。

アクセスと周辺情報

本光寺へのアクセスは、JR東海道本線三ケ根駅から徒歩約8分、またはえこたんバス「幸田町郷土資料館」バス停下車です。深溝城跡も近くにあります。また、島原市にある本光寺とは、深溝松平家が島原へ転封された際に同道した寺院であり、起源を同じくします。春には椿、梅、桜の花々も楽しめます。

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