本因坊丈策

本因坊丈策

本因坊丈策（ほんいんぼう じょうさく、享和3年（1803年） - 弘化4年8月18日（1847年9月27日））は、江戸時代に活躍した囲碁棋士であり、本因坊家十三世当主を務めた人物です。その棋力は七段に相当し、当時の囲碁界において重要な役割を果たしました。法名は日秀。

生涯

丈策は、本因坊元丈の実子として生まれました。幼名は岩之介と称しました。ただし、本因坊家に残された古文書には元丈の甥であるという記述も存在します。

天保5年（1834年）に六段の腕前で本因坊丈和の跡目となり、同年には御城碁に初出仕を果たします。翌天保6年の御城碁では、安井仙知（これが御城碁最終局となる）に先番11目勝ちを収め、この碁は丈策生涯の好局として語り継がれています。

天保9年（1838年）に丈和の跡目を正式に継承し、天保10年（1839年）には十三世本因坊となりました。翌年には、他三家の推薦を受け七段に昇段。同時に、土屋秀和を跡目とし、彼もまた七段に進みました。

丈和の引退後、井上幻庵因碩が名人碁所の願書を寺社奉行に提出した際、丈策はこれに異議を唱えました。各家元は争碁の相手を選ぶよう命じられ、丈策、林元美らは秀和を指名します。幻庵は当主である丈策自身が打つべきだと主張しましたが、自身の棋力では幻庵に勝てないと悟った丈策は苦悩し、病に倒れてしまいます。最終的に、寺社奉行の稲葉丹後守正守によって、幻庵と秀和の間で四番の争碁が催されることとなりました。結果、秀和が先番で勝利し、幻庵は名人願を取り下げることとなりました。

その後、幻庵因碩は、丈和の子で水谷家へ養子に出ていた水谷順策（戸谷道和）を井上家の跡目に迎えようとしましたが、丈策はこれを拒否しました。幻庵はさらに丈和に願い出て、丈和がこれを了承したため、天保16年（1845年）に順策は井上家跡目である秀徹を名乗ることとなりました。

丈策は病弱でありましたが、御城碁には弘化3年（1846年）まで出仕し続けました。彼の門下からは、秀和、水谷琢順、弟の吐龍宝蓮、宮重芝吉（策全）、白木助左衛門といった優秀な棋士たちが育ち、当時の上野車坂下に位置した本因坊家の道場は大いに隆盛しました。丈策は学者肌の文人としても知られ、その博識ぶりは囲碁界随一と称えられました。弘化4年（1847年）に45歳で没しました。丈和が丈策を後継者として選んだ背景には、師である元丈からの恩義に報いるためであったという説も存在します。

御城碁戦績

1834年（天保5年）先番2目負 服部雄節
1835年（天保6年）先番11目勝 安井知得仙知
1836年（天保7年）先番中押勝 服部因淑
1837年（天保8年）白番中押勝 林柏栄
1838年（天保9年）先番中押勝 林元美
1839年（天保10年）白番3目勝 安井算知
1841年（天保12年）先番中押負 林柏栄
1842年（天保13年）先番9目勝 阪口仙得
同年 白番中押負 安井算知
1843年（天保14年）白番中押勝 林柏栄
同年 先番5目勝 阪口仙得
1845年（弘化2年）先番4目勝 林柏栄
1846年（弘化3年）白番中押勝 林柏栄
同年 先番7目負 安井算知

著作

『古今衆秤』青藜閣 1843年（本因坊知伯から元丈の代までの本因坊家の打碁65局を収めたもの）

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年
相場一宏、福井正明「碁界黄金の十九世紀(第17-18回)」（『碁ワールド』誌2003年11-12月号）

外部リンク

木石庵「本因坊丈策」

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