井上因達因碩

井上因達因碩（いのうえ いんたついんせき）

井上因達因碩（1747年 - 1805年）は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した囲碁棋士です。井上家八世井上因碩として、その名を歴史に刻みました。

生涯

因達因碩は、延享4年（1747年）に安芸国佐伯郡己斐村（現在の広島県広島市佐伯区）で、百姓八木武助の子として生を受けました。幼少の頃の棋譜には田原姓で記録されており、橘二と名乗っていた時期もあったようです。

安永2年（1773年）、27歳で六段の腕前となった因達因碩は、七世井上春達因碩の跡目となります。翌年には御城碁に初出仕し、坂口仙徳に先番3目負けを喫しました。天明4年（1784年）に春達因碩が亡くなると、家督を継いで八世井上因碩となりました（当時の数え方では七世）。

寛政6年（1794年）には、門下生の佐藤春策を跡目と定め、後進の育成にも尽力しました。寛政8年（1796年）には、同じく門下で六段の腕前を持つ服部因淑の御城碁出仕を願い出ましたが、これは認められませんでした。享和2年（1802年）には七段に進み、その棋力をさらに高めました。

文化2年8月16日（1805年9月8日）、因達因碩は生涯を閉じました。法名は賓臺院。

棋風と実績

因達因碩は、御城碁に30局出仕し、当時の囲碁界を代表する棋士たちと対局しました。主な対局相手としては、本因坊烈元、安井仙哲、林門悦などが挙げられます。特に本因坊烈元との対局が多く、ライバルとしてしのぎを削りました。門人には京極周防守などがいました。

御城碁の成績

以下に、因達因碩の御城碁の成績をまとめます。

1774年(安永3年) 先番3目負 坂口仙徳
同年 先番中押勝 安井仙哲
1775年(安永4年) 先番10目勝 安井仙哲
1776年(安永5年) 白番9目負 坂口仙徳
同年 二子中押勝 本因坊察元
1777年(安永6年) 先番4目勝 本因坊烈元
同年 白番18目負 安井仙哲
1779年(安永8年) 先番中押勝 本因坊烈元
1780年(安永9年) 向二子7目勝 林門悦
同年 先番ジゴ 井上春達因碩
1781年(天明元年) 先番中押勝 林祐元門入
1782年(天明2年) 先番1目勝 本因坊烈元
1783年(天明3年) 白番中押勝 林門悦
1785年(天明5年) 白番17目負 安井仙角仙知
同年 白番9目勝 林門悦
1787年(天明7年) 白番14目負 河野元虎
1788年(天明8年) 白番9目負 本因坊烈元
1789年(寛政元年) 白番3目勝 林門悦
同年 先番3目勝 本因坊烈元
1791年(寛政3年) 先番ジゴ 安井仙角仙知
1792年(寛政4年) 白番1目負 林門悦
1793年(寛政5年) 先番10目負 本因坊烈元
1794年(寛政6年) 先番3目勝 河野元虎
1796年(寛政8年) 白番3目負 本因坊烈元
1797年(寛政9年) 白番1目負 林門悦
1798年(寛政10年) 先番4目負 本因坊烈元
1800年(寛政12年) 先番12目勝 林門悦
1801年(享和元年) 先番中押勝 安井仙角仙知
1802年(享和2年) 白番7目負 本因坊元丈
1804年(文化元年) 先番ジゴ 本因坊烈元

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年

外部リンク

木石庵「因達因碩」

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