本多敏三郎

本多敏三郎の生涯について

本多敏三郎（ほんだ としさぶろう、1844年 - 1921年）は、幕末の幕臣であり、彰義隊の隊士として知られる重要な歴史的人物です。彼は明治維新後に「晋」と名乗り、明治政府の官僚や横浜正金銀行の役員を歴任しました。彼の人生は、さまざまな時代の変遷と彼がいかにその中で役割を果たしたかを映し出しています。彼の姉はキリスト教婦人伝道者の出口せいで、また、林学者である本多静六の娘婿でもありました。

経歴の概要

本多は多賀家に生まれ、一橋家家臣の本多家に養子として迎えられました。彼の政治的なキャリアは、徳川慶喜の家臣としての活動から始まり、特に禁門の変では、朝廷からの恩賞を受けるほどの功績を残しました。その後、幕府陸軍付調役並に任命され、重要な役割を果たしました。

1868年の春からは伴門五郎や須永於菟之輔と共に、慶喜の雪冤運動を展開し、同年2月23日には彰義隊を結成します。敏三郎は当初幹事として、後に頭取として、組織を牽引しました。しかし、短期間のうちに落馬して左足を骨折、その影響で上野戦争において重要な情報を適切なタイミングで伝えることができなかったのが残念なことです。

明治維新以降の活動

明治維新後、敏三郎は静岡に隠棲していましたが、1870年7月に民部省に入省し、その後大蔵省に移ることになります。この新政府に迎え入れられるきっかけは、名高い実業家である渋沢栄一からの推薦によるものでした。同時期に、彰義隊の頭取であった渋沢成一郎は栄一の従兄であり、こうしたつながりが敏三郎の政治的キャリアに多大な影響を与えました。

大蔵省に在籍していた1869年から1873年にかけては、大蔵少輔の吉田清成に随行し、欧米を訪問する機会も得ました。国際的な見識を深め、帰国後は1880年に退官し、横浜正金銀行の役員に就任します。1888年までの長い間、この役職を務め、金融業界でもその手腕を発揮しました。その後は上野東照宮の職員として余生を送りましたが、1921年に胃癌により79歳で逝去しました。

家族とその影響

敏三郎には、元治元年（1864年）に生まれた娘の銓子がいます。銓子は日本で4人目の公認女医となり、1889年には本多静六と結婚します。敏三郎は、静六が留学を希望していたドイツ行きの条件を承認し、娘の学びを支援する姿勢を見せました。残念ながら、銓子は健康を害し、敏三郎の逝去の1日後、1921年12月25日に脳溢血で亡くなりました。

まとめ

本多敏三郎の生涯は、幕末から明治にかけての日本の歴史の一端を担った重要なものであり、その活動は多方面にわたります。彼が残した足跡は、単なる時代の背景にとどまらず、さまざまな人々に影響を与え、彼らの未来にも寄与しました。

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