本居豊穎

本居豊穎の生涯と業績

本居豊穎（もとおり とよかい）は、1834年6月5日に紀州和歌山に生まれた著名な国学者である。彼は明治期において、特に国学や和歌の研究において多大な影響を与えた人物として知られており、本居宣長の義理の曾孫にあたる。

幼少期と学問の継承

幼名は稲楠で、通称は中衛、また和号を秋屋とした。本居豊穎は父、本居内遠の死後、母の藤子によって育てられ、彼女の教育を受けながら家学に親しむ。特に古学の伝統を引き継ぎ、紀州藩が江戸に設置した藩校古学館で教授としての経験を積む。彼の教育的背景は、彼の後の研究に大きな影響を及ぼした。

明治維新後の進展

明治維新が進むと、本居豊穎は家系の重要性を背景にして神祇官に就職する。そして教部省において神道大教正に昇進する。これに加え、東京帝国大学や國學院、東京女子高等師範学校などに講師として招聘され、将来の国学者や教育者たちに影響を与えた。

また、豊穎は大正天皇の皇太子時代に東宮侍講として特別な役割を果たし、御歌所寄人として国文学や和歌を広める努力を続けた。1906年には帝国学士院の会員にも選出されている。国学や和歌の振興を目的として、大八洲学会を設立し、その名のもとに活躍を続けた。

葬儀や学問への貢献

明治24年（1891年）には三条実美の葬儀で斎主を務め、国の重要な儀式にも関わるなど、公私にわたる活動を通じて名声を得る。明治42年（1909年）には、その業績により文学博士号が授与され、学問の道における成果が評価された。しかし、大正2年（1913年）に脳溢血によりこの世を去るまで、彼の影響力は多岐にわたった。

栄典と家族

本居豊穎は位階と勲章でも評価された。彼は1901年に従四位、1906年には正四位、1913年には正三位に昇進している。また、同年には旭日重光章を受賞し、その功績が改めて認められた。

私生活においては、豊穎は男子に恵まれず、将来的な家族の継承に関してさまざまな試みを重ねた。国学者の松野勇雄を婿に迎えるも、まもなくお別れを告げた後、雨宮干信を迎え入れた。二人の間に生まれた長世は、並子が早逝した後、彼の後嗣となった。

著作と研究の足跡

彼の著作は国学に多くの寄与をし、特に『古今和歌集』に関する作品として『打聴鶯蛙集』や『古今集講義』が有名である。また、歌集『秋屋集』や祭詞集『諄辞集』など、豊穎の研究は広範囲で、多くの人々に影響を与え続けている。

彼の業績は今日においても評価され、国学や和歌の重要な基盤を築いたとして後世にも語り継がれている。

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