本庄陸男

本庄陸男（ほんじょう むつお）

1905年2月20日 - 1939年7月23日。日本の小説家。北海道石狩郡当別町出身。

生涯

北海道に移住した佐賀藩士の六男として生まれる。農業と雑貨商を営む家庭で育ち、8歳の時に渚滑村（現紋別市）に移住。尋常高等小学校卒業後、代用教員となる。その後、兄を頼り樺太で1年過ごした後、上京し青山師範学校（現東京学芸大学）に編入。小学校教師として東京の名門、誠之小学校に勤務する傍ら、新興教育運動に参加し、下町の学校を希望して東京府深川区の明治第二尋常小学校に転任。

この深川での経験は、後に代表作となる「白い壁」として結実する。1930年、東京教員消費組合の事件で検束されたことを機に退職勧告を受け、教職を辞して創作活動に専念。日本プロレタリア作家同盟に加入し、東京支部の組織化に尽力すると同時に、日本共産党にも属したため、作品執筆は一時停滞した。1934年の作家同盟解散を機に創作に集中できる環境が整い、1936年には武田麟太郎が主宰する「人民文庫」の編集人となり、創作活動に邁進するが、肺結核を発症し闘病生活を送る。

彼の作品は、故郷の北海道や少年期を過ごした樺太での生活を題材にしたものと、東京での教員生活を題材にしたものの大きく二つに分かれる。作家としての評価を確立した「白い壁」は教員生活を題材にしているが、その後は北海道の歴史に題材を求めた作品に力を注いだ。長編「石狩は懐く」や「石狩川」は高い評価を得たが、結核のため34歳で死去。

作品の特徴

本庄陸男の作品は、自身の経験に基づいたリアリティのある描写が特徴。特に、故郷である北海道の風土や歴史、そこで生きる人々の姿を丁寧に描き出した作品は、今もなお多くの読者を魅了している。また、教員時代の経験を基にした作品では、当時の教育現場の状況や社会問題に対する鋭い視点が示されている。

主な著書

『資本主義下の小学校』 (1930) ※発禁
『白い壁』 (1935)
『石狩は懐く』 (1939)
『石狩川』 (1939)
『女の子男の子』(1940)
『本庄陸男遺稿集』(1964)
『橋梁 創作集』 (1968)
『白い壁・橋梁』(1982)
『本庄陸男全集』全5巻 (1993-99)

記念碑

当別町ロイズコンフェクトふと美工場付近：生誕地の碑（工場内売店にパネル展示あり）
国道337号札幌大橋付近：小説「石狩川」の記念碑
紋別市上渚滑町西辰寺：墓

関連文献

『本庄陸男の研究』 布野栄一著 (1972年)

外部リンク

本庄 陸男：作家別作品リスト - 青空文庫
当別町観光協会｜本庄陸男生誕の地碑

関連項目

日本の小説家一覧
時代小説・歴史小説作家一覧
プロレタリア文学

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