本照寺 (高槻市)

本照寺：歴史と文化を紡ぐ高槻の寺院

大阪府高槻市富田町に位置する本照寺は、浄土真宗本願寺派に属する由緒ある寺院です。室町時代中期の1427年、本願寺7世法主・存如（蓮如の父）によって創建され、当初は光照寺と呼ばれていました。その後、幾度もの歴史的出来事を経て、現在の名称と姿を保っています。

激動の時代を生き抜いた寺院

本照寺の創建から現在に至るまで、数々の出来事が寺院の歴史に刻まれています。1532年の天文の乱では、一時荒廃の危機に瀕しました。また、蓮如上人が加賀一向一揆を避けて一時滞在した地としても知られており、蓮如上人の八男である蓮芸が住持を務めた教行寺もこの地に建立されました。その後、細川晴元らの攻撃を受け焼失するも、再興を果たし、1646年には西本願寺12世准如の子である良教が入寺し、本願寺より「本」の字を賜り、現在の「本照寺」と改称されました。本山より「富田御坊」の扁額が授けられ、北摂における西本願寺系寺院の中心的な役割を担いました。特に、本照寺は『大和』域内の被差別部落寺院の統括を担い、被差別民にとって重要な存在でした。

寺内町と豊かな歴史的景観

本照寺の周囲には、かつて寺内町が形成され、その面影を現在も残す町並みが広がっています。山門をはじめ、本堂、東門、鐘楼など、歴史的な建造物が残り、高槻市の歴史的景観を彩る重要な要素となっています。これらの建造物の中には、高槻市指定有形文化財に指定されているものもあります。特に本堂は1798年に再建されたもので、十間四面という規模を誇ります。山門や東門、鐘楼も江戸時代中期に建造されたと推定されており、当時の建築様式をよく伝えています。

消えゆく巨木「富寿栄の松」

かつて本照寺の境内には、国の天然記念物に指定されていた「富寿栄の松」というクロマツがありました。樹齢約700年、東西40m、南北30mにも及ぶ枝ぶりは圧巻で、多くの人々を魅了しました。しかし、1968年頃からマツ材線虫病により衰え始め、1971年に天然記念物の指定を解除された後、枯死してしまいました。現在は根株のみが残されていますが、根に近い幹の部分は本堂内で火鉢として活用されているとのことです。

本照寺が伝える歴史的、文化的意義

本照寺は、単なる寺院としてだけでなく、室町時代から現代にいたるまで、日本の歴史、特に宗教、社会構造、そして被差別部落の歴史を理解する上で重要な役割を担っています。その歴史的変遷、宗教的役割、そして文化的遺産は、高槻市のみならず、日本の歴史を紐解く上で貴重な資料となっています。また、寺内町の存在は、地域社会の構造や変遷を知る上で貴重な手がかりとなります。本照寺の境内や周辺の町並みを訪れることで、歴史の重みを感じ、日本の歴史の深淵に触れることができるでしょう。 本照寺は、これからも歴史と文化の継承を担い、人々の心に安らぎと希望を与え続けることでしょう。

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