本町田

本町田（ほんまちだ）

本町田は、東京都町田市のほぼ中央部に位置する広大な町域です。郵便番号は194-0032となります。町田市内で最も人口が多い地域の一つであり、これは町域内に大規模な集合住宅や団地が多く立地していることに起因します。

地理と自然

本町田は多摩丘陵の南西縁に接しており、南側の隣接地である中町や原町田との境界は、多摩丘陵と相模原台地が移り変わる地形的な節目となっています。かつて江戸時代以前の「町田村」の中心地であった歴史を持ち、古くからの町田はこの地域を指していました。現在の本町田は、東は金井町、藤の台、金井ヶ丘、玉川学園、西は山崎町、山崎、木曽東、木曽町、南は旭町、中町、南大谷、北は山崎町、野津田町、金井町と広範に接しています。

地域全体にわたって住宅地が広がっており、公社町田木曽住宅や公社本町田住宅など、多くの集合住宅や団地が存在します。また、恩田川（かつては町田川とも呼ばれました）の源流域にあたり、わさび沢川や今井川といった支流があり、地内には多くの湧水地が点在しています。特に北東部の丸山や今井周辺は、薬師池公園や七国山、玉川学園などに隣接しており、一部には里山や山林も残されています。かつて町田村から分村し市街地が形成された原町田と比較すると、より自然が多く感じられる景観が見られます。南北方向に鎌倉街道が縦貫しており、古くからの主要な交通路となっています。なお、一部地区で住居表示が実施された結果、南部が旭町や中町に、北東部の一部が玉川学園や藤の台にそれぞれ編入されており、現在の本町田の町域は過去の町域と完全に一致するものではありません。

主な河川には、恩田川、今井川、わさび沢川があります。

歴史と旧字

本町田には縄文時代から集落が存在していたことが遺跡調査などから判明していますが、当時は散在する程度だったと考えられています。鎌倉時代頃になると、南北に縦貫する鎌倉街道の要所として次第に宿場街が形成され、発展していきました。特に井出の沢（現在の菅原神社付近）では、1335年に北条時行と足利直義の間で合戦が行われたと伝えられています。

「本町田」という地名の由来は、1582年（天正10年）に農地拡大のため近隣の原野を開拓し、「町田村」から「原町田村」が分村した際、元の町田村が自らを「本町田村」と称したことによります。

現在の本町田では小字は廃止されていますが、かつては多くの小字が存在し、その名称の一部は現在も地区名や自治会名、あるいは施設名として残っています。昭和以降の宅地開発が進むまでは、主に鎌倉街道沿いの宿（しゅく）、一色（いっしき）、後田（うしろだ）、今井（いまい）といった地区に住宅や市街地が集中していました。主な旧字とその現在の状況は以下の通りです。

上ノ原（うえのはら）: 現在の町田郵便局や都立町田高等学校などがある地域で、かつては本町田でしたが住居表示で中町・旭町に変更されました。
向村（むかいむら）: 菅原神社が鎮座する地域。かつて湧水地があり、付近は井出の沢（井手の沢）とも呼ばれました。
宿（しゅく）: 古い町田村の中心地であり、鎌倉街道の宿場として賑わいました。鶴川街道の拡幅などで街並みは変化しつつあります。
一色（いっしき）: 町田宿の北端から恩田川源流（今井川）沿いに広がる地域です。かつて鎌倉街道には宿を経由するルートと避けるルートがありました。
後田（うしろだ）: 一色の東側に位置し、現在の町田木曽住宅付近やひなた村周辺を含みます。旧字名は町田市立本町田後田グラウンドに残っています。
原（はら）: 一色の西側に広がる地域で、かつては桑畑や田畑でした。旧字名は町田市立原小学校（現：本町田小学校）などに使われました。
滝ノ沢（たきのさわ）: 本町田の西端にあたり、わさび沢川（滝ノ沢）の源流地です。滝の沢源流公園が整備されています。
今井（今井谷戸）（いまい/いまいやと）: 町田川（恩田川）源流付近の深い谷戸沿いの地区です。鎌倉街道がここから七国山・薬師池方面へ抜けていました。
丸山（まるやま）: 今井の東部で、かつて山林や桑畑でしたが、現在は宅地開発が進んでいます。藤の台団地や本町田丸山緑地があります。
芝生（しぼお）: 本町田の東端の丘陵地で、現在は住宅地となっています。

交通と施設

本町田の町域内に鉄道路線はありませんが、近隣の玉川学園前駅、町田駅、古淵駅などが利用可能です。路線バス網が発達しており、主に神奈川中央交通が運行しています。特に鎌倉街道を経由する路線は高頻度で運行され、町田バスセンターなどと地域を結んでいます。また、団地いちょう通りを経由する路線も多数あります。

主要道路としては、東京都道3号世田谷町田線（鶴川街道）、東京都道18号府中町田線（鎌倉街道）、東京都道47号八王子町田線（町田街道）、団地いちょう通りが通っています。

地域内には、町田市立町田第三小学校、町田市立本町田ひなた小学校（2025年開校予定）、町田市立町田第三中学校といった教育機関や、桜美林大学東京ひなたやまキャンパスがあります。商業施設としては、食品スーパーやドラッグストアなどが点在しています。町田本町田郵便局や城南信用金庫本町田支店、町田警察署本町田交番、東京消防庁町田消防署（中町より移転）などの施設も立地しています。

公園やレクリエーション施設も多く、国の指定史跡である本町田遺跡や、それを整備した本町田遺跡公園、日向山公園、子ども創造キャンパスひなた村（旧都立町田青年の家）、滝の沢源流公園などがあります。また、隣接する薬師池公園の一部（西園、ウェルカムゲート）や、町田えびね苑、本町田丸山緑地といった町田薬師池公園 四季彩の杜の南園も本町田に含まれます。運動施設としては、藤の台球場、木曽山崎グラウンド、緑ヶ丘グラウンド、本町田後田グラウンドなどがあります。歴史的な寺社としては、菅原神社、養運寺、宏善寺が挙げられます。かつての井出の沢古戦場跡は東京都指定旧跡となっています。

地域では、高度経済成長期以降、大規模な団地開発や宅地化が進み、学校の統廃合なども行われてきました。旧本町田西小学校・本町田中学校跡地には桜美林大学のキャンパスが整備されるなど、時代とともにその姿を変えています。

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