本門寺 (三豊市)

高永山本門寺

高永山本門寺（こうえいざんほんもんじ）は、香川県三豊市三野町下高瀬に位置する日蓮正宗の由緒ある寺院です。通称「讃岐本門寺」として知られ、地元の人々からは「大坊さん」という愛称で親しまれています。

起源と歴史

本門寺の歴史は、鎌倉時代に甲斐の大石寺の信徒であった秋山泰忠が、四国への所領替えを命じられた際に、日蓮の弟子である日興に教導師の派遣を求めたことに始まります。日興は秋山家出身の寂日房日華を讃岐に派遣し、1289年（正応2年）に秋山泰忠は日華を開基として、那珂郡丸亀田村町に伽藍を建立しました。これが本門寺の始まりとされていますが、その後、兵火によって全焼し、日華も病のため大石寺へ帰ることとなりました。

1323年（元亨3年）には、秋山泰忠は日華の後任として派遣された本六僧の日仙を開基として、下高瀬に法華堂（本門寺）を再建しました。その後、1612年（慶長17年）には、大弐日円が日興の墓参りの帰りに、北山本門寺に立ち寄った際、北山の日健から本尊を渡されたことが契機となり、1646年（正保3年）に北山の日優が「讃岐本門寺は北山の末寺である」と通告する「讃岐法難」が起こります。これにより、本門寺は一時「法華寺」と改称され、北山本門寺の末寺となりました。

しかし、1876年（明治9年）には、大石寺や北山本門寺など富士門流に属する寺院と共に日蓮宗興門派を設立し、1899年（明治33年）には本門宗へと改称しました。1941年（昭和16年）には、宗教団体法によって三派合同し日蓮宗に帰属しましたが、1946年（昭和21年）には日蓮宗を離脱し、旧名に戻して日蓮正宗に帰属しました。

また、大石寺66世の日達、67世の日顕が本門寺の住職を兼務した時期もありました。現在の住職は、慧浄院日経です。

歴代住職

本門寺は、開山以来多くの住職がその法灯を継承してきました。初代の日仙上人から始まり、数多くの僧侶が寺の歴史を紡いできました。

初代：上蓮阿百貫房日仙上人
第2代：寂日坊日華上人
第3代：大弐阿日壽
第4代：日山
第5代：日門
第6代：左京阿日香
第7代：日迎
第8代：日院
第9代：日鬼
第10代：日盛
第11代：日秀
第12代：日堯
第13代：日首
第14代：久遠院日円
第15代：日乗
第16代：久遠院日教
第17代：雲竜院日研
第18代：遠寿院日真
第19代：恵林院日達
第20代：日量
第21代：長恩院日要
第22代：本興院日恵
第23代：日泰
第24代：瑞光院日遦
第25代：浄光院日邐
第26代：便妙院日逞
第27代：日忠
第28代：日住
第29代：貫正阿日睿
第30代：貫善阿日弘
第31代：小笠原阿英道院日芳
第32代：証種院日垕
第33代：広善院日貫
第34代：恵光院日章上人
第35代：久遠院日鳳上人
第36代：上蓮阿仙流院日文贈上人
第37代：日達上人（総本山第66世・本門寺貫主兼務）
第38代：日顕上人（総本山第67世・本門寺貫主兼務）
第39代：法護阿日淳贈上人
第40代：横田智研
第41代：慧浄院日経

文化財

本門寺には、香川県指定有形文化財として、「絹本著色日蓮聖人像狩野常信筆」と「本門寺中世文書」が所蔵されています。日蓮聖人像は、狩野派の絵師である狩野常信によって17世紀中頃に描かれたもので、日蓮の肖像画として貴重なものです。また、本門寺中世文書は、14世紀中頃から16世紀にかけての寺運営や寺領譲渡に関する記録で、寺の発展過程を明らかにする上で重要な歴史資料となっています。

伽藍

本門寺の伽藍は、歴史と風格を感じさせる建物が多く存在します。

三門: 1748年（寛延元）に建立された重厚な門です。
本堂（御影堂）: 1781年（天明元）に建てられた総欅造りの建物で、宗祖板曼荼羅本尊や宗祖御影が安置されています。
開山堂: 1697年（元禄10年）建立の建築物で、能舞台としても利用可能な広縁が特徴的です。
客殿: 明治時代に焼失後、大正9年に再建されました。
精霊殿（位牌堂）: 先祖の霊を祀る建物です。
鐘楼: 1887年(明治20年)建立の「久遠の梵鐘」がある鐘楼です。
宝蔵: 1882年（明治15年）に建立された宝物庫で、日蓮真筆曼荼羅本尊などの貴重な宝物が保管されています。
内塔中: 法善坊、泉要坊、奥之坊、西之坊があります。
外塔中: 中之坊、西山坊、宝光坊（現在は廃坊）、上之坊があります。中之坊の墓地には、本門寺開基である日仙の墓があります。

年中行事

本門寺では、年間を通して様々な行事が執り行われています。

1月1日：元旦勤行、新年勤行
1月7日：日仙上人法要・墓参
2月3日：節分会
2月7日：日興上人法要
2月16日：宗祖御誕生会
3月5日：日高会
春分の日：春季彼岸会
4月28日：宗旨建立会
7月16日：御霊宝虫払法要
8月10日：盂蘭盆会
8月15日：日仙上人墓参
8月最終日曜日：灯篭供養
9月12日：竜の口法難会
秋分の日：秋季彼岸会
10月1日：日精贈上人法要
11月15日：日目上人法要
11月中旬：七五三祝
11月22日 - 11月25日：大坊市
11月22日 - 11月23日：御会式
11月25日：本門寺歴代満山供養

月例行事として、毎月7日に日興上人御講、第1日曜日に広布唱題会、第2日曜日と13日に宗祖御報恩講、15日に日目上人御講が開催されています。

交通アクセス

JR予讃線みの駅から徒歩1分と非常にアクセスしやすい場所にあります。この駅の旧名である「高瀬大坊駅」は、本門寺に由来しています。

外部リンク

本門寺（三豊市）
* 高永山本山本門寺（三豊市）

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