興統法縁会

興統法縁会について

興統法縁会（こうとうほうえんかい）は、日蓮宗の内部組織であり、富士門流に属する寺院によって構成されています。この組織は、歴史的な経緯から複雑な変遷をたどっており、その成り立ちと現状を理解するには、日蓮宗の歴史と富士門流の動向を把握する必要があります。

歴史

発足

1941年（昭和16年）、宗教団体法の施行により、日蓮宗、顕本法華宗、本門宗の三派が合同し、新たな日蓮宗が発足しました。この際、本門宗に属していた大石寺とその末寺（現在の日蓮正宗）を除く富士門流の寺院は、全て日蓮宗に所属することになりました。旧本門宗の寺院は、日蓮宗内で「興統法縁会」を組織し、初代会長には本門宗の元管長である由比日光師が就任しました。

7本山とその旧末寺の動向

終戦後の1945年（昭和20年）、宗教団体法が廃止されると、日蓮宗からの離脱が相次ぎました。1950年（昭和25年）には、京都の要法寺が約50ヶ寺の旧末寺を率いて日蓮宗を離脱し、日蓮本宗を設立しました。また、下条妙蓮寺とその旧末寺6ヶ寺は日蓮正宗に合流しました。1957年（昭和32年）には、西山本門寺、保田妙本寺とその一部末寺、重須本門寺の末寺である讃岐本門寺などが日蓮正宗に合流しました。1960年（昭和35年）には、下条妙蓮寺の旧末寺のうち、日蓮宗との合同を維持していた1ヶ寺が日蓮正宗に合流しました。その後、1975年（昭和50年）に西山本門寺が日蓮正宗から離脱して単立となり、1995年（平成7年）には保田妙本寺が旧末寺2寺とともに日蓮正宗から離脱し単立となりました。

このような離脱劇の中で、北山本門寺、小泉久遠寺、伊豆実成寺の3本山とその旧末寺、そして日蓮宗を離脱した4本山の旧末寺の一部は、北山本門寺を縁頭寺として「興統法縁会」を再編し、現在に至るまで日蓮宗内部で富士門流としての独自性を維持しています。

宮崎県内の興統法縁・日郷門流の諸寺院の動向

宮崎県内の富士門流寺院は、日郷門流に属し、小泉久遠寺と保田妙本寺の末寺でした。これらの寺院は、本門宗の設立に参加し、1941年の三派合同によって日蓮宗に所属し、興統法縁会に参加しました。

1957年（昭和32年）には、創価学会の働きかけにより、宮崎県内の複数の富士門流寺院が日蓮宗を離脱し、日蓮正宗に合流しました。この際、日向市財光寺定善寺は、日蓮正宗の九州本山となり、他の寺院は定善寺の旧末寺とされました。しかし、妙国寺は保田妙本寺の末寺であることを主張し、定善寺の旧末寺とされることを拒否しました。また、上行寺をはじめとする9ヶ寺が日蓮宗を離脱し、大日蓮宗を設立しました。

その後、1958年（昭和33年）には妙国寺が日蓮正宗を離脱して単立となり、1960年（昭和35年）には県内の別の寺院が日蓮正宗に合流しました。1976年（昭和51年）に妙国寺は日蓮宗に復帰し、小西法縁にも所属することになりました。1989年（平成元年）には、上行寺を含む大日蓮宗の8ヶ寺が日蓮宗に復帰し、2006年（平成18年）には、旧大日蓮宗の最後の寺院も日蓮宗に復帰しました。

興統法縁会の所属寺院

現在の興統法縁会には、以下の寺院が所属しています。

重須（北山）本門寺とその旧末寺36ヶ寺

本門寺（富士山）：静岡県富士宮市北山
法輪寺（万年山）：東京都新宿区西早稲田
蓮華寺（泉光山）：東京都中野区大和町
宗川寺（白東山）：神奈川県横浜市瀬谷区北新
蓮妙寺（弁財山）：神奈川県茅ヶ崎市芹沢
常在寺（本興山）：神奈川県海老名市社家
本禅寺（宝松山）：神奈川県厚木市飯山
正法寺（蓮華山）：山梨県中巨摩郡昭和町押越
本妙寺（中央山）：山梨県中巨摩郡昭和町押越
本源寺（興栄山）：山梨県北杜市長取町中丸
伊豆国分寺（妙法華山）：静岡県三島市泉町
蓮正寺（伊東山）：静岡県伊東市芝町
本能寺（富蔵山）：静岡県沼津市獅子浜
久成寺（実成山）：静岡県御殿場市清後
妙典寺（光照山）：静岡県御殿場市山之尻
本國寺（成就山）：静岡県富士市今泉
妙善寺（八王子山）：静岡県富士市伝法田端
法華寺（富士山）：静岡県富士宮市宮原
本光寺（大鏡山）：静岡県富士宮市宝町
東陽坊（富士山）：静岡県富士宮市北山
養運坊（富士山）：静岡県富士宮市北山
西之坊（富士山）：静岡県富士宮市北山
養仙坊（富士山）：静岡県富士宮市北山
蓮行坊（富士山）：静岡県富士宮市北山
行泉坊（富士山）：静岡県富士宮市北山
本妙寺（大久山）：静岡県富士宮市北山
正林寺（玉樹山）：静岡県富士宮市北山
本源寺（蓮華山）：静岡県富士宮市市原
東光寺（富士山）：静岡県富士宮市下条
宗円寺（妙見山）：静岡県富士宮市馬見塚
妙隆寺（道場山）：静岡県静岡市清水区蒲原
信行教会：静岡県富士市宮下
世尊寺（令法久住山）：新潟県佐渡市真野竹田
本興寺（戸河山）：新潟県佐渡市相川下相川
本光寺（法教山）：新潟県佐渡市泉
本覚寺（法輪山）：和歌山県和歌山市数寄屋町
顕本寺（大導山）：岡山県岡山市北区芳賀

小泉久遠寺とその旧末寺4ヶ寺

久遠寺（富士山）：静岡県富士宮市小泉
大乗坊：静岡県富士宮市小泉（久遠寺の塔頭）
妙円寺（萱守山）：静岡県富士宮市小泉
円蔵寺（長久山）：静岡県駿東郡長泉町元長窪
長遠寺（日照山）：静岡県富士市三ツ沢

伊豆実成寺とその旧末寺4ヶ寺

実成寺（東光山）：静岡県伊豆市柳瀬
妙泉寺（永正山）：静岡県伊豆市原保
本成寺（法運山）：静岡県伊豆市菅引
行蓮寺（旭光山）：静岡県伊東市宇佐美
蓮慶寺（船守山）：静岡県伊東市川奈

下条妙蓮寺の旧末寺1ヶ寺

妙典寺（蓮華山）：東京都豊島区南池袋

保田妙本寺の旧末寺9ヶ寺

下之寺：千葉県安房郡鋸南町吉浜（妙本寺の塔頭）
西之寺：千葉県安房郡鋸南町吉浜（妙本寺の塔頭）
山本寺：千葉県安房郡鋸南町吉浜（妙本寺の塔頭）
久円寺：千葉県安房郡鋸南町吉浜（妙本寺の塔頭）
大行寺（円融山）：千葉県安房郡鋸南町保田
妙顕寺（福谷山）：千葉県安房郡鋸南町大六
妙蓮寺（成光山）：千葉県南房総市富浦町手取
妙遠寺（長継山）：神奈川県川崎市川崎区宮前町

京都要法寺の旧末寺34ヶ寺

妙円寺（本因山）：山形県米沢市大町
本法寺（須加山）：埼玉県行田市須加
正興寺（鷲林山）：岐阜県岐阜市木造町
本典寺（普光山）：新潟県佐渡市相川下寺町
妙徳寺（法功山）：奈良県宇陀郡御杖村大字桃俣
三護寺（妙法山）：奈良県吉野郡大淀町大字檜垣本
妙船寺（小西山）：島根県邑智郡川本町
妙蓮寺（亀隆山）：島根県大田市大森町
法蔵寺（円俵山）：島根県大田市大田町
妙経寺（圓廣山）：島根県大田市大田町
本経寺（松樹山）：島根県大田市仁摩町
乗福寺（薬師山）：島根県大田市富山町才坂
本要寺（円教山）：島根県出雲市湖陵町三部
東満寺（東光山）：島根県出雲市東郷町
妙仙寺（法広山）：島根県出雲市大津町
裕宗寺（涼運山）：島根県出雲市大津町
妙雲寺（西竜山）：島根県出雲市天神町
本覚寺（滑石山）：島根県出雲市天神町
本住寺（宗運山）：島根県出雲市下横町
妙蓮寺（久遠山）：島根県出雲市古志町
光明寺（妙経山）：島根県出雲市馬木町
法泉寺（清谷山）：島根県出雲市稗原町
延福寺（東光山）：島根県出雲市斐川町
妙行寺（遠寿山）：島根県出雲市大社町新町
古平田寺（宗信山）：島根県出雲市平田町
妙蔵寺（法鷲山）：島根県出雲市多久谷町
成蓮寺（立実山）：島根県雲南市大東町大東
安養寺（法王山）：島根県仁多郡奥出雲町横田町小馬木
妙綱寺（岩尾山）：島根県仁多郡奥出雲町横田町大馬木
金言寺（松尾山）：島根県仁多郡奥出雲町横田町大馬木
八槇寺（滝尾山）：島根県仁多郡奥出雲町横田町大馬木
南枝寺（法妙山）：島根県仁多郡奥出雲町横田町中村
妙吉寺（大法山）：島根県雲南市三刀屋町中野須所
妙興寺（亀滝山）：島根県松江市寺町
菩提寺（養王山）：島根県松江市雑賀町
長遠寺（無量山）：広島県広島市中区大手町

西山本門寺の旧末寺12ヶ寺

上行寺（富士山）：神奈川県伊勢原市上粕屋
広宣寺（恵日山）：静岡県伊東市芝町
上行院（大見山）：静岡県伊豆市地蔵堂
代通寺（興流山）：静岡県富士市八王子本町
安立寺（上行山）：静岡県富士宮市青木
善能寺（興代山）：静岡県富士宮市野中
代信寺（滝戸山）：静岡県富士宮市山本
代立寺（富士山）：静岡県富士宮市小泉
上行寺（本因山）：大阪府東大阪市立花町
寿光寺（上行山）：大阪府大阪市城東区中浜
代行寺（草龍山）：福岡県直方市植木井関

宮崎県内の久妙両山の旧末寺

妙興寺(塚原山)：宮崎県児湯郡木城町椎木
妙国寺(興福山)：宮崎県日向市細島
上行寺(法華経山)：宮崎県宮崎市本郷南方
本東寺(慧日山)：宮崎県延岡市松山町
本永寺(松尾山)：宮崎県宮崎市高岡町内山
常福寺：宮崎県南那珂郡南郷町大字鴻上

その他の寺院

立正寺(瑞薫山)：北海道芦別市北3条
智浄寺(海竜山)：宮崎県児湯郡川南町
龍雲寺(妙福山)：宮崎県児湯郡都農町川北
本光寺（御堂山）：宮崎県日向市大字財光寺
妙源寺（経王山）：宮崎県日南市油津
本門伝灯会結社：神奈川県川崎市麻生区岡上
船守寺(上原山)：山梨県上野原市諏訪
* 法華経寺(南国妙山)：鹿児島県伊佐市大口白木

かつて興統法縁会に所属していた寺院

このほか、かつて興統法縁会に所属していたが、離脱したり、他の宗派に移籍した寺院が多数存在します。これらの寺院については、詳細なリストが記事内に記載されています。

まとめ

興統法縁会は、日蓮宗の内部にありながら、富士門流の伝統を維持する重要な組織です。その歴史は、宗派の合同と分裂、寺院の離脱と復帰など、複雑な経緯をたどってきました。現在では、多くの寺院が興統法縁会に所属し、それぞれの地域で活動を続けています。興統法縁会の歴史と現状を理解することは、日蓮宗の歴史と多様性を理解する上で不可欠です。

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