本願寺 (京都市右京区)とは？意味をやさしく解説

本願寺（嵯峨本願寺）

本願寺は、京都市右京区嵯峨にある浄土真宗の寺院で、嵯峨本願寺とも呼ばれています。真宗大谷派（東本願寺）から独立した経緯を持つ寺院です。

歴史

開申事件と宗憲改正

1969年、真宗大谷派の法主であった大谷光暢（闡如）が、後継者である長男の大谷光紹に管長職を譲る意向を示した《開申事件》を発端に、大谷家と宗派の内局との対立が深刻化しました。この対立を背景に、宗派の基本法規である宗憲の改正が検討されるようになります。

改正の主な目的は以下の2点でした。

1. 宗本一体化: 宗教法人としての方針の不一致が生じていた本山東本願寺と真宗大谷派を統合し、一体化すること。
2. 法主制の改革: 大谷家当主が兼務していた「管長」「法主」「本願寺住職」の権限を改め、宗派と東本願寺のすべての権限を門徒の公議公論に基づいて運営される大谷派教団に一本化すること。

東本願寺の離脱と独立本願寺の設立

当時の体制維持を図りたい大谷光暢は、改革派による宗務の正常化に危機感を抱き、1978年に東本願寺の真宗大谷派からの離脱を宣言し、独自の運営を目指して独立本願寺の寺務所を設置しました。

法的独立の断念と本願寺寺務所の存続

1980年、大谷家側と宗派側との間で《即決和解》が成立し、東本願寺の宗教法人としての独立は断念されました。しかし、大谷光暢はその後も宗派側の和解事項が遵守されていないと主張し、「本願寺寺務所」として東本願寺の内事に事務所を存続させました。

大谷光暢の遷化と法宝物の継承

1981年に大谷派が門首制度へ移行した後も、大谷光暢は門首への就任を拒否し、東本願寺法主として独自の宗教活動を続けました。1993年に光暢が亡くなると、四男の大谷暢道（後の大谷光道）が遺言により大谷家当主と寺務所を継承。光暢が所有権を争っていた東本願寺の法宝物の訴訟も引き継ぎ、1999年の最高裁の判決によって、国宝や重要文化財指定の30点余りを除く大半の法宝物の所有権を獲得しました。

嵯峨への移転と宗教法人認証

2005年、真宗大谷派との間で内事の居住権を巡る和解が成立し、内事を明け渡して嵯峨の地に移転しました。2007年には京都府から「宗教法人本願寺」として認証を受け、2010年に本堂が落慶しました。

本願寺は、第24世大谷光暢の遺言により東本願寺を継職した第25世大谷光道が、2005年に東本願寺の寺基を嵯峨に移転したという立場をとっており、東本願寺嫡流を名乗っています。

住職

現在の住職は、第25世大谷光道（秀如）です。大谷家当主、本願寺法主を称しています。新門は三女の大谷光純です。

本願寺 (京都市右京区)