本願寺神戸別院

本願寺神戸別院：モダンな寺院の歴史と魅力

本願寺神戸別院は、兵庫県神戸市中央区下山手通に位置する浄土真宗本願寺派の寺院です。西本願寺（京都市）直属の別院として、「モダン寺」の愛称で親しまれています。その歴史は古く、1573年、武田上野介信久が摂津国八部郡二ツ茶屋村に建立した善福寺に遡ります。

信久は、本願寺第11代門主・顕如上人に帰依し、教祐という法名を授かりました。この善福寺が、現在の本願寺神戸別院の起源となります。その後、1908年に西本願寺は善福寺を別格別院善福寺とし、本願寺の別院としての事務を行うようになります。大谷尊由が特命住職として任命され、総班事務所が置かれました。

しかし、1917年に火災により、本堂を含む伽藍の大部分が焼失するという大きな出来事が起こります。その後、大谷光瑞や大谷尊由らの尽力により復興が推進され、1930年にはインド様式を取り入れた斬新な建築様式の本堂が完成しました。尖塔や壁面彫刻など、当時の建築技術の粋を集めた本堂は、人々の目を奪い、「モダン寺」と呼ばれる所以となりました。この復興を機に、一乗山善福寺は神戸市長田区に移転し、別格別院善福寺とは区別されるようになりました。

1960年には、浄土真宗本願寺派（西本願寺）の直属となり、現在の「本願寺神戸別院」となりました。

阪神・淡路大震災後には、老朽化が進んでいた施設の建替えが行われ、1995年9月には新たな多目的施設が竣工しました。外観はインド風のデザインを継承し、ホールや会議室などを備え、仏前結婚式も行われるなど、地域住民の生活に密着した活動が行われています。

本願寺神戸別院の見どころは、なんといってもその美しい外観です。異国情緒豊かな5つの尖塔とステンドグラスは、訪れる人々を魅了します。本堂の前には、親鸞聖人のブロンズ像が建立され、静寂の中で聖人の偉業を偲ぶことができます。また、本堂内部は、別院では珍しい椅子席規範に準拠した設計となっており、門主席、新門・前門席、礼盤、そして内陣が配置されています。畳を用いていない点も特徴の一つです。

インド様式を取り入れた寺院としては、同じ西本願寺の別院である本願寺名古屋別院、直轄寺院である築地本願寺なども挙げられますが、本願寺神戸別院は、その独特の雰囲気と歴史的背景から、多くの参拝者を引きつけています。

アクセスは、阪急神戸高速線の花隈駅西口から徒歩すぐ、阪神神戸高速線の西元町駅東口から徒歩5分と、非常に便利です。JR神戸線神戸駅、神戸市営地下鉄大倉山駅からも徒歩圏内です。

本願寺神戸別院は、歴史と現代が融合した、独特の魅力を持つ寺院です。神戸を訪れた際は、ぜひ一度足を運んでみてください。

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